日本のほぼ中央を東西に走る中心構造線が人体にもたらす効能が、最も顕著に判りやすいのは、温泉成分であろう。エビデンスは、田中収教授の下の文章をご覧いただくこととして、この、中心構造線に沿って、禍を封印するために建立された数多の神社とともに、名立たる秘湯・名湯が日本国には点在している。特に武田信玄公を筆頭に、山梨・長野県はその恩恵を古くから享受してきたと言われ、増冨の鉱泉、毒沢鉱泉、尾白の湯、こちら白州塩沢温泉は、温泉マニア垂涎の効能を誇る。
 もう一つは、パワースポットであろう。こちらも、全国の名立たる名湯や神社の側に点在するが、こちらはまだ、本格的に科学のメスが入っていない。
 秘湯を一通り巡り終えた爺は最近この、パワースポット巡りにいそしんでいて、分杭峠や諏訪大社上社、戸隠神社奥社などを巡ったが、どうしても一箇所、この身を晒してみたいスポットがあった。
 それが、600年の歴史をたたえた真言宗豊山派浄光寺の薬師堂だ。
 
 
 
 このたび、奥方様のご縁で、小布施にお住まいの岡本先生のインスタグラムに、その記事を発見し、お願いして案内させていただけることとなった。
 まずは、傑物北斎先生が最晩年にその心血を注いだ作品群を貯蔵している北斎館で岡本先生と待ち合わせ。
 
 
 富嶽三十六景や東町・上町の超巨大な祭屋台を堪能。
 
 
 
 絵もさることながら、達筆具合には、大変に驚かされる。筆をかように操るという修行の喪失も、日本人の手先、ひいては脳の発育に変化を及ぼしているのではないか、と危惧を感じる位、よわい80越えの文字達には、力と美が、宿っておりました。 
 
 
 フォトでは、肉眼の迫力の、10分の1も伝わりませんな。
 
 
 美女二人をパチリ。
 
 
 北斎館の前に鎮座する酒蔵が営む蔵部さんで、北斎のパワーに火照った喉を潤し、クールダウン。
 
 

 地の物に舌鼓を打ち鳴らし、いざ、浄光寺は薬師堂へ、参ります。

 浄光寺は、北斎館から車で10分も足らず。

 実は日本では、活断層封印を目的として建立された神社がほぼほぼパワースポットに該当しており、活断層の衝突が引き起こす地熱や磁場、電磁波の影響とあれば理解が及ぶものの、お寺さんのパワースポットは大変に稀有。今回は、その謎を肌で感じることも、お愉しみの一つであります。

 
 
 結論から申しましょう。
 こちらの薬師大門をくぐると、空気の温度が、ガラリと変わります。その清涼感・静謐感も顕著に体感できる程。それがとっても、劇的でありました。例えるなら結界。通常は、ユルリユルリと空気が変わるものなのですが、こちらは、バン、と変わります。これは、生まれて初めての体験でありました。
 
 
 また、しっかりと人払いもしてくださり、我々三名の貸し切り状態に。
 
 
 静謐な時空に鎮座する薬師堂。後ろはたおやかな丘。急峻が崖もありません。この空間が、切り取られたように静謐。空気が身体の細胞のすみずみまで行渡り、とても清々しく。
 
 
 筆舌に尽くし難い、体感でありました。参拝を終了し、首を垂れ、門をくぐると、ポンと下界に。あらあら、不思議。
 
 
 次なる目的地は、葛飾北斎最後の大作、天井画。我が宗派であります、曹洞宗岩松院であります。こちらの方が、背後に崖を携えた神社の如き。しかし、参拝客が多く、ある意味、曹洞宗らしからぬ俗世が見え隠れするお寺さんでありました。きっと座禅場は別にあるのでしょうね。小林一茶の蛙合戦の池を詣でて、たおやかな小布施の一端を堪能させていただきました。 
 
 
 どうも、パワースポットは、中心構造線の影響だけとは限らないようですね。けれども、おそらくは、自然が織りなす配置の妙が、このような静謐をうむのでありましょう。ハワイ島マウナ・ラニのフィシュポンド、さらに強烈な、モオキニヘイアウにて感じた空気感とシンクロするものが、浄光寺薬師堂にはありました。不思議さでは、卓越していますよ。お薦めです。
 最後に、この出会いをもたらしてくださった、岡本美奈子先生に、奥方様共々、深く感謝申し上げます。
 
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2015 モオキニヘイアウにて
 
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