万能型の吉野チャンプ。挑むはソリッドなストレートパンチャーの中谷正義。世界的な名声は、圧倒的に中谷。テオフィモ・ロペスと闘ったIBF世界ライト級挑戦者決定戦では、どちらが勝者か分からない激戦を演じ、次戦、ワシル・ロマチェンコには破れたものの、その実力は本場ラスベガスの目が肥えたファンにも強い印象を与えた程。

 試合は中谷が先手を取り、長い距離からのジャブとソリッドな右ストレート。時折見せるガード裏のフックで支配権を取ったかに見えた。が、卓越していたのは吉野の目。固めたガードに依存せず、頭を振り被弾を最小限に抑え、リターンに返すパンチを、回を追うごとに軌道修正し、手数を増やしていく。

 拮抗が破れたのは5ラウンド。遅い強振の単打を修正し、速い連打が出るようになった吉野がリターンで中谷の顎に効かせ、痛烈なダウンをゲット。

 迎えた6ラウンド。パンチで止めようとする中谷の防戦を、精度が高く回転の早いパンチで突破。見事に倒しきった。これで、吉野は16勝12KOとパーフェクトレコードを更新し世界戦線への切符を手に。

 現在、世界ライト級戦線は群雄割拠。特にスロースタートを許さない初回から高次元の効かせ合いが繰り広げられる。そこを吉野がさらに修正し、ブラッシュアップ出来れば、世界最前線に躍り出る日も近い。