井上尚弥がアメリカデビューを飾った対ニエベス戦、逃げ回った末の6ラウンド終了棄権試合を想起させられた試合運び。今回は、タイ式仕込みのボディブロックや、基本的なパンチ力といった戦闘力は、ニエベスより格段に強いディパエン。結果として8ラウンドかかったという論調が多かったが、ディフェンスに徹したら判定にもつれ込んでもおかしくない試合であった。何より下のコメントを交互に読めば、我慢合戦の全容は明らかになる。


ディパエン

「戦う前はそんなにスピードがないかと思っていたが、とても速かった」

「もっと前に出て打ちたかったが、イノウエのパンチが凄すぎて、ヤバいと思って出られなかった」

井上

「ボディーへの攻撃のブロッキングもすごく研究して、ディフェンシブに戦ってきているという印象だった」

ディパエン

「ディフェンスしながらたまに攻めて行った」

井上

「本当にこれ効いているのか」とメンタルをやられそうになるくらいのタフさを感じた」

ディパエン

「必死に耐えた」

井上

「ディパエン選手は本当に凄くタフで、根性も感じた」

ディパエン

「何回もパンチは効いていたが、タイのファンや、国、家族のために我慢した。止められたのは悲しい。想像と全然違って、めちゃくちゃ速かった。いっぱいパンチをもらって、ダメージになった。もっと前に行きたかったが、行ったらヤバいと思った」

井上

「やっている最中に『これ、効いてるのかな?』というくらい表情も出さない」

ディパエン

「我慢できずダウンした。こんな強いパンチは初めてだった」

「僕のアイドル。今までで一番強い」


さて、目下の大敵はドネア以外の何者もいない。前回ドネア戦で井上が負ったダメージのハメは、下がらせられたことだ。故に次戦はドネアを下がらせる。ハメられない。そして何より、相打ち回避、パンチの速度~連打間隔を極めて短くシャープに、に尽きる。敗れる可能性は否定出来ないが、井上がドネアをKOに屠る可能性もまた、高い。五分五分を七分三分にするに、下がらせる、相討ち出来ないパンチの引きの速さ。

それにしても、痺れる展開になるだろう。

繰り返すが、ドネアからすれば、一つだけでも形に嵌めれば勝機が産まれる。それは下がる、相打ち、だから嵌まらないことは勝利において、必須だ。


いやあ、楽しみ。