何年か前、メーカーから福利厚生施設の提供を受けて、ボクシング教室を運営したことがあった。

その時最も印象深かった事は、生徒さんの顔の、劇的な変化だ。

正に使用前使用後。

教室に付いたときには目がつり上がって鬼気迫る形相のハードワーカー達が、バックを打ちミットを打って一汗二汗かくと、まるで憑き物が落ちたように…或いは、ひとっぷろ浴びた温泉場のオバサマのように、穏やかな良い顔になる。

特に女性の、責任が重い地位に居れば居るほど、その劇的な変化は顕著だった。そして、ジムワーク時の姿勢も凄まじく、鬼気迫る形相が凄まじければ凄まじい程、その表情の落差は大きい。

これは何だろうと、常々思っていた。

昨日たまたまストレスにフォーカスした番組を見ている時のこと。

野性動物と遭遇したときに人間の身体の中では、直ぐに逃げ、或いは闘えるように心拍は早くなり、自律神経は活発化し、傷を負っても直ちに止血が成せるよう赤血球が増えるといった仕組みを解説していた。この仕組みが現代人に於いては、ストレス反応で起こってしまうという。

そうか。ようやく合点がいった。

現代に暮らす人はしかし、逃げたり闘ったりといった運動による解消がなく、ストレスだけが蓄積し、やがて症状として出てしまう。だから、ストレスフルなマネージャーであればある程、サンドバックを殴り、トレーナーのミットを殴るといった疑似闘争で、正に“劇的”に、ストレスが“適正”に緩和されるのであろう。

同様に逃げると酷似した“ジョギング”もしかり、だ。
責任ある地位にいる企業戦士が、或いはハードワーカーが、運動を惜しまない理由は、野性のシステムを利用して、そのストレス解消のルーティーン…代償行為を上手く活用出来ているのであろう。

中でも“ヒッティング”の効果は紛れもなく劇的だ。なにしろ、使用前使用後の表情の変化がスバラシく良い。

ストレスフルな貴方!
ぜひお試しあれ!