夢は描いて叶えていくもの
彼女自身の誕生日に、ついにリリースされることになったオリジナルCDは、ファンの間では音源化が強く待ち望まれていたものである。美しく仕上がったジャケットでは、まっさらなキャンバスにこれから彩りを加えていきたい、そんな新たなスタートに対する想いも込められた真っ白なドレスを着た姿が目を惹きつける。
アイドルグループの平成琴姫は楽曲のよさと「平成琴」を演奏するライブで知られているが、その中心メンバーとしての約4年間の活動を経て、昨年夏からはソロシンガーとして、またミュージカル女優として新たな活躍の場を広げてきている。かとう唯が作詞・作曲をした2曲が初めて収められたこのCDでは、ミュージカル女優としての表現豊かな歌唱力とともに、ソングライターとしての卓越した才能も見せてくれている。
「夢をカタチに」は、遥かな目標に向かって努力を続ける人の曲である。自分の実体験を元に書かれた歌で、どうしようもなく落ち込んでしまって、何も見えなくなった非常に苦しい時期に、自分の気持ちを紙に書き出してみたら自然に心の整理ができて、
「あ!わたし こんな夢がある!夢は描いて叶えていくもんなんだ!そう思って作りました。」(かとう唯ブログ「ゆいのラララ日記♪」より)
かとう唯自身もこの曲に励まされたと語っているが、美しく透き通ったボーカルが聞く人に優しく語りかけ、今はとても届きそうにないような遠い夢に向かっていく勇気と希望を与えてくれるような、そんなスローバラードである。
「晴れ ときどき 晴れ」は、子供の頃に「明日天気にな~れ」と靴を空中に蹴って明日の天気を占なったときに裏返ったって表向けたりしたように、今日はどうしても気分を表にしたいという時の気持ちを歌っています、とライブ等で語られている。踊り出したくなるような軽やかなメロディとともに、歌詞の明るく前向きな想いが陽の光のように降りそそぎ、これを聞いて心が沈んだままでいられる人はいないだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=uCM-Nch2AJs&t=94s
この2曲を聴くと、まるでミュージカルの中から切り取られた2場面のようにも思える。例えば、サウンド・オブ・ミュージックのザ・サウンド・オブ・ミュージックとドレミの歌、或いは最近の映画ではLa La Land(ラ・ラ・ランド)のAudition(オーディション)とSomeone in the Crowd(群集の中の誰か)といったような。近い将来にそうなるかな?
優美で可愛らしく、ユーモアのセンスも抜群で、芯の強さとしなやかさをも併せ持つ多才なアーティスト(長い!)と言うべき、かとう唯は、これからますますその輝きを増していくに違いない。彼女の歌を聞いた人には幸せが訪れる予感がするのだが、その魅力的な歌声と笑顔が多くの人に届くことを願っていまうす。