いつからだったか忘れるくらい、ずーーっと前からファシリテーションを体現している人として尊敬している嘉村賢州(けんしゅう)さん。

(メッセンジャを読み返したら2011年7月に「よせなべ」に参加したのが最初だった!

 

 

こうやってすぐ遡れるの、現代ってすごい・・)

 

フレデリック・ラルー著『ティール組織』の解説者としても有名なけんしゅうさんなので、最近はもっぱら組織開発の分野でお名前を聞く機会が多くなったんですが、久しぶりにファシリテーションをテーマにイベントをされる・・というのをご本人のFacebookで拝見して、速攻申し込んだのがこの『第1回場づくりトーーーク 場づくりどう変わる?』でした。

 

けんしゅうさんのこれまでのファシリテーションとの関わり

「・・見立てるとか、ステップを作るとか、背中を押すとか・・そういう意図のある関わりが苦手で、最初はファシリテーションとかコーチングとかどちらかというと毛嫌いしてたんですよねぇ」

 

の言葉に、けんしゅうさんの口からもそんな言葉が!

そうか、この苦手意識は私だけの問題じゃなかったんだー、と思えて、少し安心したりもしました。

 

社会人になって、若手社会員や学生が、1000人集まって1ヶ月世界会議をしようというとんでもない規模のイベントの、場づくりの責任者を任されて力不足を感じていた時に出会った、書籍オープン・スペース・テクノロジーの話も。

 

 

 

やり方はほとんどないこの本で大切に説かれていたのは

■場を信じる

■いなくなるファシリテーション

 

ファシリテーターが場のかじ取りやまとめ、調整を担ってしまうと、参加者はファシリテーターに依存してしまう。

綺麗にまとめればまとめるほど、参加者にとって他人事になってしまい、行動に繋がりにくくなるきらいがある。

いなくなる。ことでかえって自律的な場が生まれるという考えを読んで、毛嫌いしていたファシリテーションを学ぶ価値のあるものと初めて認識できたという話も興味深かった。

 

そこから、専門書100冊読み込む熱意と、作った人、書いた人の哲学を知るためにと、本を読むだけでなく本物を体験する機会をどんどん持ったというエピソードもけんしゅうさんらしいなと思いました。

 

まちづくりから、紛争解決から、「企業の中には紛争が生まれがち」として様々な分断を乗り越えシナジーを生む活動など、ファシリテーションと言われたらなんでもやったというけんしゅうさん。

自分の能力では足りないと思っては本を読み、実践するを繰り返す1000本ノックのような体験から、今のけんしゅうさんが作られているのか・・と、納得半分、果てしないな・・という呆然半分でお話を聞いていましたチーン

 

ファシリテーションのこれから

オンラインでの場や、対面とオンラインのハイブリッド開催など、様々な場の開き方が生まれてきた。
これからは、分断を統合する、超えていくファシリテーションが重要になってきそうだ。
それは、自分自身との分断も含めて。
 
これまで対面では表面の意見のすり合わせだけでも、顔をあわせる中で心の納得も得られることが多かったが、オンラインでその表層だけでなく、心の納得と両方がきちんと得られているのかを確認することは重要。
 
そこには、議論の内容だけではなく、前提として関係性の質を高めることや、表面のやりとりの裏側に心を配ることと合わせたファシリテーションが求められる。
 
例)
企業などで、発送ツールを活用して生まれたアイデアが形になりにくい問題
いくらアイデアが生まれても、本気でやりたいと覚悟を決めて手を挙げる人が出てこないと成り立たない。
イノベーティブなアイデアは、もちろん反対意見も多い。
その中で覚悟を持った人が生まれること、行動しやすい環境を整えることなど総合力が求められる。
ファシリテーターの中には、内省系が得意、アイデア発想系が得意など得意分野があるが、両方を押さえておくことが重要。
 
2020年はじめから、少しずつオンラインの場が増えてきて、「そつなく回す」は何とかできるようになってきたけど、もう一歩、前に進んでいきたいなぁという欲が出てきた今日この頃。
場に参加してくれる参加者さんが毎度毎度本当に神なので、そこから生まれたコミュニティも含めて、もっとお互いのアクションを応援できる場をどう作れるか?も、広く「場」の設計として考えていきたいところ。

質疑応答

Q:ファシリテーションを一言で表すと
 
A:様々なファシリテーションの活用場面があるので一言では言いにくいが、助産師のような存在といえるのでないか。
生むのは、その人自身。生まれるべくして生まれるものを、顕在化させるそのお手伝いをする立場
 
Q:落としどころを求められる場での振る舞い
 
A:落としどころのあるもの、ないものがある。デザイン系のファシリテーションであれば、落とし所に向かってきっちりプログラムを構築して臨む。
組織開発のような、落としどころに持っていくことが第一義でない場の場合は、結論が出ないこともありうることを設計の段階からクライアントと事前にコミットしておくことが重要。
アウトプットを出す、ことよりも、これまでの前例踏襲を超えて「変わる」ことの重要性を、きちんとクライアントとも共有できるかどうか。
 
Q:ファシリテーションに馴染みのない場でのはじめの一歩
 
A:ファシリテーターと名乗らないで始められるものとして板書がおすすめです。
  1. まずは議論を見える化すること。この時、意見を対等に扱うことが大切。恣意的に取らずに、意見を見える化することで、信頼が得られる
  2. だんだんと、私の意見を拾ってもらえるという安心感が生まれ、みんなが板書を見ながら話をするようになってきたら、「この意見、きちんと書きたいのでもう少し教えてもらえますか?」と問いかけてみる
  3. 議論の整理や、まとめに参画してみる
  4. だんだんと、場への問いかけも許されるように
  5. いつの間にか、ファシリテーターと名乗らなくても場のファシリテーションに関われているという状態になる
 
牛しっぽ牛からだ牛あたま
 
一時間半という短い時間でしたが、吸収したいことたくさんで、めちゃくちゃ刺激的な今日のイベントでした。
 
ファシリテーションを学びたい、深めたいと思う人に向けて、コクリ!の桃色絵巻という冊子もご紹介いただいて、予想だにしない未来を創るコ・クリエーションの「3つの流れと12の智慧」として、コクリ!系統樹も教えていただいて、これから学んでいきたい気持ちがムクムクと膨らんだ日曜日。

 

 

2021年度にいただいていた助成金関係の報告書を何とか無事にお送りすることができ、やっと私の長かった2022年3月45日が終わったところなので、心も軽く「これから何をしたいか?何を学んでいきたいか?」を考えられる脳みそで、今日のお話を聞けて良かったニコニコ(な、長かったー)

 

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そして懐かしい写真が出てきて嬉しい酔っ払い

 

来週あたりから、ゆるゆるとこれからのことを考えていこうと思いますーハイハイ