仕事に頑張る女性の生きづらさ"にも"刺さる映画であるのですが、

テレビの製作現場や映画祭や映画賞の現場にも

女性審査員の少なさなど問題があるという話しに。

個人的に
映画監督座談会も男性監督がずらりと並んだ図を見ると

運営側は女性が苦手で男性が好みなのか?と思ってしまうし

女性監督の存在を忘れないで欲しいし

映画は男性だけが作っているのではない

と伝えるのもメディアの役目だと感じるのです。


そういった日本映画の未来を願う話も出て来ています。


それと

個人的なことを書きますが

野本梢監督の私的な出来事から映画は生まれたというように

私も野本梢監督と同じ経験を

24歳から29歳の恋愛で体験しました。


仕事やキャリアに夢中で

恋人が結婚を考えているのに逃げ腰で

子供を産んだらキャリアが絶たれてしまうという呪いにかかり

おざなりにしたあの頃が『愛のくだらない』の景そのものでした。
 

だからか、私は景の気持ちが痛いほど分かってしまう。


それからもうひとつ

実は男性にも"気付き"を与える映画なのです。


私自身も、景のような行動を起こす男性にも30代半ばで出逢い

悲しんだことも思い出したりしたから。


こちらが結婚したいと思っても、相手が夢を追っていたり

仕事に頑張っていると結婚を考えてもらえずに歳だけを重ねていき

子供が産めなくなったらどうしよう

この人をいつまで待てば良いのだろう

と悩んで、別れるか待つかを考えてばかりいたことを。


そう、『愛のくだらない』は、

夢を追う男性にも自分ごとに思える映画なのです、きっとね。

相手を好きでも、どこかで自分を好きなら自分のわがままを許してくれるし

受け入れてくれるに違いないと奢ってしまう。


そんな人間の自分勝手で弱くてどうしようもないところを

抱きしめてくれる映画でありました。


野本梢監督は、自分や人の中に生まれた細やかな感情の変化に気付いて

見落とさないように映画として紡ぎあげていく。


その才能が大好きな私は

パンフレットにも応援の文章を書かせてもらいました。


なんだか自分の過去を見ているような映画を作ってもらえ

昔の自分に照れ臭くて、でも愛おしく感じて仕方がなかった、

そしてそんな感情も持てたことで、今があると笑顔になれるのです。