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ここ数日、胸を痛めているニュースがあるのですよ。


それは

明らかに犯罪でしょ、と思うレイプ事件が

連続で無罪判決になっていることでして。


今回、耳にした「準強制性交等」


ちなみに

強制性行等とは

暴行、脅迫を用いて、強姦などした場合にくだり

準強制性交等は

心神喪失、抗拒不能の際にくだる刑法だそう。


ここ最近、連続する性犯罪が無罪判決になるキーが

どうやら

抗拒不能 という言葉。


心理的、物理的に抵抗できないことを、抗拒不能と言い

被害者に意識がある

判断能力がある

という理由から無罪判決がくだるケースが多いよう。


こんな判決ばかりで

嫌な過去を思い出した。


18歳の頃

女友達の家に泊まりに行き

夜11時までファミレスでご飯を食べていたこと。


そもそも深夜に外出なんて、アウトだろ

とおっしゃる気持ちもわからないでもない。


あの頃は、エネルギーが有り余っていて

眠くなかったし、高校卒業を前に未来が

輝いてみえたし、世の中に悪い人が

身近に存在するなんて思わなかったもの。


そんな夕飯を済ませた帰り道のこと。


突然、横を歩いていた友達が悲鳴と共に

視界から消え

次の瞬間、力一杯、手を引っ張られた。


振り解こうとした時には

友達は羽交い締めにされ、車の中

見捨てることも出来ずに

車に押し込まれた。


あの時のことは今でも鮮明に覚えている。


助手席に座らせられ、泣きじゃくる友達。


私の隣で口を塞ごうとする男性の手を噛んだりしながら

レイプされるんだったら、死んでもいいと思った。


大宮バイパス辺りを走る車の中で

ドアを開けようとしたり

運転席のシートを足蹴りし

「降ろして!今すぐ降ろして!」

と叫んでいた私にシビレを切らし

私たちは真っ暗な誰もいない道に放り出された。


ショックで泣き続け、トイレに行きたいと言う

友達に、草むらでするよう促し

その後は彼女の肩を抱きながら

30分くらい歩いて

回送中のタクシーを見つけて

止まって欲しくて目の前に飛び出した。


優しい運転手さんによって

友達の家から随分遠くまで来ていることを

深夜2時くらいだということを知らされ

運賃も無料にしてもらい

家にたどり着いた。


あれ以来、しばらく長い間

男性に肩を触られるだけでも

ゾッとして、吐き気みたいな拒絶反応が出た。


治ったのは、当時、心に寄り添ってくれた

彼氏のお陰でね。


今思うと私自身が怖いことをしてたんじゃ?



走っている車が蛇行したら交通事故に

なっていたかもしれないし

タクシーの前に飛び出したんだから

轢かれていたかもしれないし。


あんな、勇気はどこから出て来たの?


必死どころか死んでもいい

だったんだと思う。


だから、レイプされる時の精神状態は

少しは理解が出来る。


男の人の力はすんごく強い。


そんなことをする人なら

殺されると思うかもしれない。


死ぬのが怖かったら

抵抗する力も失ってしまうかもしれない。


わたしが助かったのは

死ぬ覚悟で、恐ろしい行動したから。


そんな覚悟、いらないし、そんな行動出来るのは

希少なんじゃないか?


事件にならなかったのは

レイプされずに生きて生還出来たから。


そして、18歳のわたしにとって

その出来事は恥ずべきことだった。


訴えるって

相当の覚悟がないと出来ないんじゃ?



映画の仕事をしているから

わたしは刑法のことや裁判のことは

正直、詳しくない。


でもこのタイミングで

ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の

ドキュメンタリー映画「RBG 最強の85才」を

試写で見て

これはおかしい?

と疑問を持って刑法と戦う女性最高裁判所判事


なぜ、多くの女性たちに今、支持されているのか

えらく理解出来たのですよ。


時に

法だけで

判断してはいけない事件があるんだと。


人の心ほど難しいものはなく

それが一般的と思わされた日常の中で

「なぜ?」と疑問を持つことで

世界は変わっていくと伝えていた。


そしてもうひとつ


当事者と似たような経験をした人なら

理解出来るセンシティブな部分があるのも人の心。


たとえそれが経験していなくとも

それぞれの心に目を向け

深く深く相手の心を探求すれば

誰かを救えるかもしれないことを。