「知りもしないで、偉そうなことを言うな」


そんなことを言われるくらいなら

何も言わない方がマシ。


この言葉を聞いて驚いた。


映画が作られた背景についてだって

憶測でものを言うことも多い。


それこそが映画の醍醐味で

映画化する意味だと思うからだ。


だから、私はあえて統計と憶測でものを言う。


例えば

アメリカのアカデミー賞授賞式を

あと数日に控え

ノミネート作品を見ていると面白いことが

見えてくる。


基本的にアカデミー会員は

実話の映画化が好き。


それは紛れもなく

米アカデミー賞は

世界が注目しているからこそ

世界情勢に合ったものを

映画で世界に知らせるべき

と思っているからではないだろうか?


今年は

「ダンケルク」や「ウィンストン・チャーチル」

と言ったイギリス側から見た

第二次世界大戦の映画が揃った。


同じ時代のイギリス軍の歴史的な戦い

ダンケルクの戦いを現地に焦点を当て

臨場感たっぷりに見せた

クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」
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その指示をしたチャーチル英首相の

苦戦を強いられていた戦争において

究極の決断をするまでの

27日間を綴った

政治映画「ウィンストン・チャーチル」

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これは是非、セットで見て欲しい

イギリスの歴史がよく分かる映画。


そして

アカデミー賞では

「ペンタゴン・ペーパーズ」のように

戦争やそれに関連する

政府のスキャンダラスな事件を

描いているものがあるということ。

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「ペンタゴン・ペーパーズ」に至っては

スティーブン・スピルバーグが

「レディ・プレイヤー1」が先に決まっていたのに

トランプ政権になり

慌てて

「ペンタゴン・ペーパーズ」を作ったという

熱の入れよう。


まさに、トランプ政権への危機に対してや

この映画で描かれる

無駄な戦いと言われた

ベトナム戦争の二の舞いにならないよう

社会に目を向けて欲しい

ニクソン米大統領時代の

二の舞いにならないように

映画を通して、アメリカに、世界に

伝えているのだろう。


だから

「ペンタゴン・ペーパーズ」のラストカットに

「ウォーターゲート事件に続く」

という文字が出て来るのだ。


偶然か?


日本では先週末公開された

リーアム・ニーソン主演

「ザ・シークレットマン」に

これがまるで繋がるようで面白い。

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問題のウォーターゲート事件を描き

ニクソン米大統領を辞任に

追い込んだ

まさにFBI副長官の内部告発。


大統領ひとりの存在で、歴史が変わる。


国のトップひとりの決断で、戦争も起こりうる。


それを描き続ける海外映画。


前に、イベントでお会いした

海老名香葉子さんがこう言っていた。

「ヒトラーはすごい人、と第二次世界大戦

当時、日本では教えられていた」


うちの亡き父も似たようなことを言っていた。

「戦争に行きそこねた、海軍に入りたかった。

お国の為に闘うのは名誉なことだからな」


そんな教育を過去受けてきた日本では

最近は、少女漫画の胸キュン映画が

市場を広げ

ここ数年の話題作では

「永遠の0」「日本のいちばん長い日」

「この世界の片隅に」

が思い浮かぶくらい。


胸キュン映画が悪いとは思わないけれど

この手の作品数の多さには

疑問符さえ浮かぶ。


しかも

試写で洋画、邦画、を見て歩いていると

「日本はたしかに平和ボケかもしれないな」

と言う言葉さえ浮かんでくる。


というより

世界を視野に入れるより

日本でのヒット、メディア展開にばかり

目を向けてしまっているところが

多いのかもしれない。


日本では、ややお高い娯楽の映画館に

お客さんを呼ぶためには

俳優の人気や、原作の人気に頼る。


仕方がないと言えばそれまでだけれど

どこかで

いつもは感じることのない

日本人のプライドがフツフツ湧き上がる。


内情を何も知らないで

偉そうなことを言っているのかも

しれないけれど

日本にも、伝えなければいけない歴史がある。


過ちを伝えることも

未来への教訓になる。


そんな骨太な社会派なり、戦争映画を

日本映画でも今より多く見たい

そう思った最近であった。