荻上直子監督の新作
「彼らが本気で編むときは、」
ベルリン国際映画祭で
テディ審査員特別賞(セクシャル・マイノリティーをテーマにした37作品の中での評価)と観客賞をダブル受賞しました。
日本映画でテディ賞受賞は初であり
LGBTの映画賞ではベルリン国際映画祭のこの賞は最高峰だそう。
初日舞台挨拶の司会を終え、生田斗真さんや桐谷健太さん、柿原りんかちゃん
そして荻上監督の口から
映画の裏話を聞き
改めて
この作品の素晴らしさを実感しております。
「五年前に双子の母になって、ベースとなった実話を知り、母と子をテーマにした映画を作りたいと思ったんです」
そう荻上監督が今日の舞台挨拶で口にしていていました。
生田斗真さんも締めのコメントで
「好きな人がいる人にも見て欲しい。この映画を見て、一歩踏み出す勇気を出してもらえたら」
的なことを言っていましたが
この映画から母という存在についてや、愛することの美しさや強さを感じるんですよね。
私の公式Facebookで綴っている
「映画で心理コラム」で、最近、結婚についての記事を
https://www.facebook.com/satorineiga/posts/1225302814243694:0
映画「ラビング」から書いたばかりですが
この「彼らが本気で編むときは、」では、家族について
ここで書こうと思いました。
「彼らが本気で編むときは、」の劇中でも
身体は全て女性になれたリンコさんが、まだ戸籍が男性のままであることについて
こんなようなことを言いました。
(うろ覚えなので、台詞は正確ではないことをお許しくださいね)
「私の戸籍が女性になったら、マキオは結婚してくれる?そうしたらトモのお母さんになれるから」
リンコは、子供を産めないけれど
トモの実の母のヒロミより
多分きっと、間違いなく
血の繋がりなんて関係なく
トモを愛おしく思い、守りたいと思い、一生、一緒に居たい
と思っているのが強く伝わる台詞でした。
母になって思うのは
我が子は可愛く、憎たらしく、たまらなく愛おしいのだけど
それは誰もがそうだとは限らないことであると
最近のニュースを見て気付かされるのですよ。
家族のカタチに血の繋がりは関係ないのだと。
守りたいと思い合える者同士が、愛情で築き上げていくのが
本来の家族のカタチなんじゃ?って。
それをこの映画は教えてくれます。
ちょうど
アカデミー賞にノミネートされている
実話の映画化
「LION 25年目のただいま」
この作品も
生みの親から離ればなれになってしまった少年が
オーストラリアの育ての親の元で成長し
自分のルーツについて見つめ直す中で
家族のカタチについて描いているんですよね。
ニコール・キッドマン演じる育ての母の葛藤についても
掘り下げられていて
血の繋がりは果たして重要なのか?考えさせられます。
家族になりたいと思った者同士が愛情を注いで育てていくこと。
子供って、間違いなく、親の愛に敏感。
愛されている自信が、愛を人にも与えられる自信に繋がるんだと思うのです。