私の頭の中を開いたら

どんな記憶が蘇ってくるだろう?


こんなに映画のことを書いて、映画ばかり見ていても

きっと鮮明に浮かび上がる記憶には

出産した時のことや

娘の泣き顔や笑顔やハイハイしてこっちに向かってくる姿や

しがみ付いて甘え顔を胸に埋める姿ばかりなんだと思う。


あとは

大好きな人の寝顔や、横顔や、低音でこちらに呼びかけてくる声とか、初めて手を繋いだ時の記憶とか

きっとそんなたわいもない、幸せなことなんだと思う。


舞台挨拶やテレビに出た時のこととか、刺激的な思い出は、記憶の海の何処かに漂ってる。


そう思ったのは

昨日

脳内捜査で事件解明に扮装する特殊捜査チームの物語

映画「秘密 THE TOP SECRET」を観たから。


原作は

清水玲子氏の大ヒットコミック。


はい、少女マンガ。


でも侮るなかれ。


ロングセラーの結果、第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞に輝いた

いわば、芸術出来なストーリーなのですよ。


興味を持ったのは

生田斗真くんや岡田将生くんというイケメンが出てるからではない(笑)


「るろうに剣心」の大友啓史監督が「ハゲタカ」ぶりの社会に疑問を投げかける人間の心を描いているのでは?

と思ったのもひとつ。


でも

何より

「羊たちの沈黙」を愛してやまない私の好物である

犯罪心理やら脳科学やら、心理学がてんこ盛りだからね(笑)


オープニングから

岡田将生くん演じる、心理分析のエキスパートでまだ頭でっかちの青木が

死体を見て、分析し、あーだこーだと犯人像を語り始めるところから

うんちくばかりの青二才が鼻について面白いかも?とワクワク。


生田斗真氏演じる薪は、死んだ人の脳からその人の記憶をモニターに映し出し、捜査するという

警察庁のエリート集団[第9]の室長。


ようは

殺された人の脳から、犯人を見つけることも可能だし、犯人の脳から犯行を見ることも可能。


ただし、映像だけでは立件できないので、捜査をして逮捕という結果に進めなければいけないわけ。


脳の映像から、重要人物と思われる人の姿が映し出される。


男を家に招き、次々と関係を結ぶ彼女は、心理学では、ラポと言われる行動に似ている。


愛されることに飢えていて、それを肌を合わせることで得るという症状とも言われているけれど

この彼女には更にその先がある。


男の性欲に付け込んで、相手を虜にするという征服欲。


催眠療法が出てきたり。


通常は、心の奥にしまい込んだトラウマを探し、解放するための心理療法。


でも使い方では人を支配できるわけで、催眠術をかけ、相手を思いのままに動かしてしまう犯人。


どれも人の弱さに漬け込む人の邪悪さ。


映画は

きっと長い原作をわかりやすくまとめようと試みているのだけど

登場人物が多いので、なかなかその人、一人一人の心の闇や弱さまでを描ききれず

主人公の薪をフューチャーしている。


個人的には

そうなると薪の優しさや弱さの部分をもう少し見たかったし

やはりダブル主演の位置の青木の過去のことも気になり。


けれど

科学捜査に関するリサーチは素晴らしい。


短くは決してない、2時間半で収める難しさ。


長い原作を、映画にするのは容易いことじゃない。


海外ドラマのように制作費をかけ、作るのが向いている原作かもしれない。


でも、設定や展開がダントツ面白い。



脳の記憶。


悲しい思い出は、苦しいからきっと記憶の海の奥底に沈んでる。


キラキラした記憶は大切に大切に忘れないように寄せては帰す波のように何度も何度も蘇るんだと思う。


「インセプション」のように記憶は何層にも連なっているわけだから。