消化しきれない映画を見た。
不適合じゃなくて、多分、身体に順応仕切れないくらい
適合性があるから、
頭と心が二時間半では追い付かないだけな気がする。
『ふがいない僕は空を見た』
不妊に悩む主婦が出逢った高校生。
同人誌イベントで大好きなアニメのコスプレをする彼女は
高2の彼とコスプレをして身体を合わせることを日常にしていく。
「現実を見なくて済むでしょ?」
そう言う田畑智子さん演じる主婦の誰にも言えない闇が響く。
永山絢斗くん演じる青年は、良くないことと頭で分かっていても
身体が気持ち良さから抜けられない。
彼の同級生で団地暮らしの青年は、ダメな親のせいで
アルツハイマーの祖母をひとりで世話しながら
生活苦を誰にも言えずに、今の生活から逃げられない。
ある人は、誰かを羨み、嫉妬し、攻撃する。
ある人は、追い詰められて、その状況から逃げることも出来ず
うずくまって目を背ける。
そんな人々の出来事を、整理せずに、バラバラのまま
あえてきっと押し込んだようにも見えるタナダユキ監督の
感覚を大切にした観客に感じてもらえばいい、みたいな映画に
どっぷりと見事なくらいにハマった予感がする。
ある人が言う。
「馬鹿な恋愛したことないヤツなんてこの世にいるのかね?」
ある人が言う。
「普段はとんでもないヤツだから、それ以外のところで
とんでもなくイイヤツにならなきゃいけない」
ふがいない自分のどこかに、せめていいことを探して生きてく。
そうやってマイナス、プラスで生きていく、って簡単に
説明出来ることじゃないよ、とこの映画はそのまま伝えてくる。