最近、試写で観た邦画の中で密かに興奮した映画。
それがこの是枝裕和監督の『奇跡』です。
兄弟の漫才コンビである「まえだまえだ」の前田航基くんと
前田旺志郎くん、オダギリジョーさん、樹木希林さん
阿部寛さん、内田伽羅ちゃん、林凌雅くん、そして是枝監督が
舞台挨拶に立った完成披露試写会とミニ会見の司会。
『空気人形』以来のお仕事となった是枝監督に会った瞬間
「試写で観た日、夢に見てくれたんだって?
ツイッターで読んだよ(笑)」と声をかけられ。
そうなんです、えらく脳裏に焼き付いたらしく
その夜、映画『奇跡』の夢を見た。
キャスティングもカメラワークもシーンの切り取り方も
そして「くるり」のサントラも、活き活きとした子供たちの
表情も大人達のなにげないやり取りも、物語の運び方も
なにもかもなんていうか現実と願いとの葛藤の中で
優しく、ちょっと寂しく、それでいて光が見えて素敵だった。
舞台挨拶に立ったオダギリジョーさんも昨日見たばかりで
記憶も鮮明で、えらく気に入っていた。
『歩いても 歩いても』に続く是枝組参加の阿部寛さんも
樹木希林さんも深く作品を読み解いていて
「是枝監督は優しい。映画にもその優しさがにじみ出ている」
そんなことも付け加えていました。
両親が離婚して、それぞれ母方、父方と離れて暮らす兄と弟。
家族が元通り、一緒に暮らせることを願う兄は
九州新幹線の一番列車がすれ違うとき奇跡が起きるという噂を信じ
友達たちとその瞬間を見に行こうと決意する……。
子供たちの純粋な思いと、大人達の勝手な都合と小さな夢。
私は、子供のまっすぐだったり複雑だったりする表情も
大人の困惑した表情も無邪気な表情も映し出したこの作品が好き。
そして、「奇跡」というタイトルに希望があって好き。
昨日、一緒にいた恋にピリオドを打った友達の話しを聞いても
彼女は海外という遠距離の恋愛で「奇跡」を信じて挑んだ
すごい勇気のある女性だと思ったし、素敵だなと思った。
難しい状況の恋だからって「諦める」のは簡単だけど
「好き」だから飛び込む行動に出て「奇跡」を起そうとする
そんな勇気、なかなか簡単に持てることじゃないから。
だからきっと、次は幸せを掴めるはず。
彼女へエールを贈ってくれた方、私も彼女も嬉しかったです。
ありがとう。
ちなみに『奇跡』の公開日、6/11は
離婚した夢見る男である亡き父の誕生日。
これも何かの縁、だからすごく特別に感じるんですよ。