2023.2.12UP

 

2020年、震災ボランティアの一環で現地の宮城県・気仙沼大島の方から震災時のお話を伺う機会があったのですが、これが壮絶で、皆に伝え後世に残さなければならないものだと感じました。しかし私にはその力がないので、せめて歌にして歌い継ごうと考え、北海道民謡のソーラン節の替え歌としてまとめました。ソーラン節を選んだのは、
1)比較的よく知られた民謡で唄える人が多い

2)ソーラン節の故郷といわれる余市地区も、気仙沼大島も、海に生きる人々の歴史がある

3)震災の津波で流された船が余市から帰ってきた

という理由からです。弾き語りした唄もUPできればいいのですが、それはまた今度できたときに…

 

 

ソーラン節・気仙沼大島バージョン
 〜大島のSさんの語りから〜

 

ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)
 揺れて呼ばれて 高台のぼりゃ
 見慣れぬ姿の 気仙沼湾 チョイ
ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

地震があったときは対岸の気仙沼市におり、何かに導かれて急いで高台に上った。

 

ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 船駆け港で 振りかえ見れば
 海がおっかね 山になる チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

急いで港に行き、潮が引き浅くなった海を船で駆って大島に戻るとすぐに津波が来た。


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 船のロープが 千切れて浮いて
 あわや命が 救われた チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

船のロープがちぎれて船が海面に出たので助かった。

ロープがつながれたままだったら海に投げ出されていた。


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 ごおと唸って 三度(みたび)の津波
 港喰らい 島襲う チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 柱抜ける 人流される
 腰に縄巻き 引き上げる チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

家の柱が崩れて瓦がガラガラと落ち、海に人が流されてきた。

体を船に縄でつないで引き上げたが、流されてしまった人もいた。


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 知らせ聞きつけ 亀山登りゃ
 海は火の海 山焦がす チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

夜、海で広がった火が陸に上がり、あわや山を焼くかという事態になった。

海の水を車をピストンして運び、総出で山にかけて消化した。

しかし塩水で山の木や花がダメになってしまった。


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 死者を導く みちびき地蔵
 おれたち導く 生きるため チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 山水せき止め 清めて飲んで
 次は電柱 明かり灯せ チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

飲み水がないので、唯一流れていた山水を貯めて浄化して飲んだ。

しかしそれでは足りず、プールの水も使った。

電気は、島の電気会社の社長がいち早く業者にかけあい、自腹で電柱を調達してくれた。

それを立てて電気を復旧させた。


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 船が戻った われらの島に
 新潟から 余市から チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 島来て助太刀 汗する人よ
 未来語らい 酌み交わす チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)


ヤーレン ソーランソーラン

ソーランソーランソーラン(ハイハイ)

 沖でカモメの 啼く声聞けば
 島の暮らしは やめられぬ チョイ

ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ

(ハ ドッコイショドッコイショ)(ハ ドッコイ)

 

 

 

※気仙沼大島周辺ではウミネコを多く見かけますが、島のみなさんは慣習的に「カモメ」と呼んでいるため、ここでもカモメとしました。