そこで舞台のほうも一つだけ・・ | satonaka☆音の見聞録

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実在人物を主人公として描く難しさは説明したとおりで、
もし革命家であれば、少なくとも、どのような経緯で思想など形成していったか?理解を深め、また周辺国を含んだ一帯の情勢を把握してなければなりませんし、スパイも同様。…諜報が絡めばそれはより深く、また彼を引き込んだ当時の国々の思惑も知ってなければなりません。
 
歌手や芸術家であれば、その人物が半生に於いてどの様な物事から影響を受け、その歌や作品が生まれるまでにどんな過程を踏んだか?作者は理解する必要があります。
前項に載せたオリバー・ストーンについては、その理解を全く深める事なく主人公を描いているのが明白で、
だからあのような映画になりますし、
だから元バンドのメンバーが激怒するのです。もちろんファンも怒ります。
 
 
 
 
ここで舞台作品についても一つだけ取り上げたいと思います。
主人公は今は亡き天才歌姫♪
天に召されてからまだ12年しか経っていません。(公演時)
もちろん親族も当時の関係者もほぼ皆 健在です。
…つまりリアルタイムを知る人たちが無数にいる中での制作となります。
 
この制作発表を聞いた時、上記の事も鑑みると、期待よりも不安のほうが先行しました。…ほんとうに大丈夫なのかはてなマークと、、
もちろん触手も積極的には動きません。…演出家の野沢氏による前説を読んだ限りでは、、
 
一方、歌姫役の主演に抜擢された田村芽実さんは少しいろいろ調べた結果、これは適任!と思えました。
歌姫の生前に所属していた事務所の社長さんも推薦していたらしく、歌ってる動画など少し視聴してみると、若きアイドル時代を彷彿させるものがあり、歌唱力もなかなか…その時代だけを演じるならば、ほぼパーフェクトです★
 
切り口によっては相当面白いものが出来上がると思いました。切り口によっては・・
 
だが、いかんせん…前説読んだあの演出家にその発想力があるか?ちよっと期待は出来ません。
いろいろ趣向を試みようとしているのだけは伝わりますが…独自の視点で以って描こうと臨む人には思えませんでした。
 
 
結論から先に言いますと、観に行きませんでした。…というより、行けません。
公演があと2ヶ月と迫ってるその時点でも日程は決まっていない。もちろんチケット入手方法やら諸々、詳細がいつ公示されるのか?その日を含めた全てが不明確・・
そしていつの間にやら公示されたその時既にスケジュール表は SOLD OUT で埋め尽くされていた。
おそらく公示される前からファンクラブ等の関係筋から情報得ては席を押さえて、小劇場の短期公演だけに、それで間を置く事なしにキャパはいっぱい!と、そんなとこでしょう。、
 
これらの事も鑑み更に、この題材をこの劇団に任せて果たしてはてなマーク大丈夫なのか…そんな不信感が増してきた。
唯一、田村芽実さんが思ってるより逸材であろう事が、この公演に於ける光明の部分ではあるが、
野沢氏が独自の切り口で彼女の逸材を存分に活かす事が出来るか?
 
だがこれをもっと才能ある作家が取り組んだとしても、独自の切り口や発想力で以って臨めるか?…実はそれも難しいように思う。
実際やれば、筆者が期待するような作品としての面白味が増すであろうが、それを親族・関係者が喜ぶか?は別問題であるからです。
今回の場合、その近しい人たち含めた “生き証人” の殆どが存命そして健在で、ましてや事務所の社長さんも監修する中、作者が独自の切り口と解釈で物語を展開できるか?そこまで踏み込む勇気があるか?
よほど巨匠として名を馳せた作家でないと無理であろう。
つまり啓蒙的意味も含めて全体像を描く…これが順当な推測となりましょう。
 
 
筆者はこの公演を観にいってないので、作品に対する直接の評価は避けたいと思います。
当日券の有無など問い合わせて一応は画策するも、ダメ元として早々に諦めてました。
それでも古株のMIMAKOファンが骨折ってチケット数枚入手し、その仲間から少し話を聞きました。
また聞きになるので内容の部分には触れませんが、
 
舞台としてはかなりイレギュラーな手法を用いたらしく、
時系列をバラバラに描いたそうです。そして前後しながら目まぐるしく場面転換…
これがものすごく解りづらく、また観にくかったそうです。
 
筆者もこれだけは頷ける。舞台でこれをやっては…観客の反応は当然であろう。
これは飽くまで、映画の手法である。フィルムの場合、編集を施せるからだ。
舞台で暗転、セット組み直して…これを何度もむやみに繰り返したら、観客は困惑する一方だ。
演出家がどう観せようか?いろいろ趣向を駆使し、前説からも何か試みや取り組みを考えてる事は伝わってきたが、この手法はよほど工夫しないと難しいし、
観客が実際に「観づらい」と言ってるのだから、成功していないのであろう。
中身についてはどう描かれてるか分からないが、仲間の言う事には、理屈の上でも、額面通り受け取って良さそうだ。
 
なので公演発表時からの “大丈夫か?” は、そのまま認識も変わらなかった、
啓蒙的な意味があるにしても、小劇場のキャバに1週間弱の短期公演…果たして?どれだけの人に歌姫の存在が認知されるのであろう。。
 
それに公演中・公演後の追加公示を見ても、やたら高価なグッズの物販案内が目に付く。
そしてDVD発売、記念の上映会もいい値段の入場料で
出演者たちのファンから取れるだけ取ろうという寸法か?
どんどんワケがわからなくなってきた。
 
筆者はこのような類いに対してお金の計算は得意でないが、舞台というのは、映画以上にハイリスク・ローリターンである。
そうは言っても、物販の売上げは制作者たちには死活問題であるかもしれないし、
DVD化ともなれば、映画とて、制作費を回収する方法の一つでもある。興行などパイが小規模であるほど、その比重は高くなる。
この『舞台-MIMAKO』も、その例外でない筈だ。
 
 
 
そこでこの公演のDVD化について一つだけ付記したい。
先に、今回の野沢氏による舞台演出は飽くまで映画の手法であり…と述べたが、
この劇場での、観客たちによる解りづらい観づらいの声も、つまり映像化すれば必ずしもその限りではないという事だ。
それは “編集” が可能だからである。
実際に映像作品化された際に編集による改編が施されてるかどうか?筆者は視聴してないので何とも言えないが、それで作品性が変わる可能性は残っており、
 
また過去に実際、演劇の実況録画したフィルムを編集して、一つの映像作品に仕上げた例もある。
筆者の知る範囲では高校生の頃に観た映画で 1964年の作品となりますが、
ジョナス・メカス監督の『営倉(The Brig)』があり、
彼女は同名の演劇を観に行ったとき、これをフィルム化することを突如思いつく。
最終日だったので、このアイデアに同意した俳優たちと一緒に翌日夜の閉鎖された劇場に入り込んではセットをつくり直し、
当時は先端機器であった同時録音のカメラ(16mm)で同じ演劇の状況を撮る…といった方法である。メカスはこの事で後日、映画組合から大目玉を喰らう事になるが、
劇映画とも違う、ドキュメンタリーとも違う、彼女の異色作が完成します。
 
 
今回の野沢氏が当初からこのようなカタチの映像化を視野に入れて取り組んだ制作であれば、彼の手法に対する見かたは、冒頭で述べた事とはかなり違ってくる。
(『舞台-MIMAKO』のDVDは現在、Amazonや楽天などの通販でも流通していますが、どのように編集が施されているか興味深いところである)
 
 
 
最後に後記に移ります…
この公演から一年と少し経った昨年の夏、
筆者が朝霞駅前広場の記念碑に花を添えに行くと、そこには明らかにMIMAKO世代ではない若い青年が佇んでおり、同じように花を添えていました🌼
その自然な流れで声をかける事になるのですが、聞けば田村芽実さんのファンらしく、歌姫の事はもちろん前年の公演で知ったのみ。どんな人か?興味は増し、記念碑のある場所も知って、足を運んで来たそうです。
この日は毎年恒例、夏のお祭り《彩夏祭》が行われていたのですが、この青年はその場所も知らず、とにかくやみくもに訪れたそうで、筆者も同じ目的で来ていたので、現地まで同行案内しました。
その〈LIVE FOR LIFE〉のブースには事務所の社長さんもおられましたので、歌姫についてのお話をいろいろと拝聴したそうです。
 
あの公演自体はそれこそ小規模でしたが、それでも主演女優のファンが歌姫への興味から実際に足を運んで来ており、
啓蒙的な意味は大いにあったのです。
 
特筆したいのは、田村芽実さんの存在☆
この年の秋には歌姫のメモリアルコンサート《音楽彩》にもステージに立ち、序盤にはミス・サイゴンから「命あげよう」を歌唱…これももちろん悪くはありませんでしたが、筆者を驚嘆させたのは公演終盤で歌った「1986年のマリリン」🎤
以前にも高橋みなみが歌姫の特徴をよく研究して演じきっており、かなりの定評を受けていたのですが、
田村さんの場合は、まさに生き写しビックリマークびっくり
つまり…
一昨年の舞台でも観客らは生き写しの “マリリン” を目の当たりにしているのです。
また、アイドル時代の楽曲は他にも歌ってるかも知れず、この年令時期の描写については、それこそ 本田美奈子.さん “そのまんま” だったのでしょう。
(尚、この公演数ヶ月後の《音楽彩》時は遥かに磨きがかかっていた)
 
主役がもし田村さんでなかったら、前出の青年も果たして亡き歌姫に関心持っていたでしょうか?…そこは定かでありませんが、
田村さんだったからこそ役に光が当てられたキラキラそんな気がします。
一番の意味は、
かつて本田さんがミス・サイゴンに於いて、キムを演じるのでなくキムとして生きた。…のと同じように、
1年半のロングランと1週間の短期公演の違いはあれど、
女優・田村芽実が亡き歌姫を演じたのでなく、歌手・本田美奈子.(そして工藤美奈子)として舞台を生き抜いた事にあるのではないでしょうか★
 
 
 
なお現在、田村芽実さんは歌姫が生前に所属していた同じ事務所にて芸能活動を行なっています。
この女優さんに関心のあるかたは、こちらをご覧ください
 
また、前出の青年も訪れた夏のお祭り《彩夏祭》が今年も本日から埼玉県の朝霞市にて開催されます。
この2日(金)は前夜祭となり、場所も異なりますが、
明日あさっての3日(土)・4日(日)は、東武東上線朝霞駅から徒歩7分ほどのところにある市役所広場にて、
〈LIVE FOR LIFE〉のブースも出店されます。
本田美奈子.さんに関心あるかたも、お時間あれば是非こちらに足をお運び下さい。