人生に幾つもの分岐点がある。
それはまるで物語のエピソード分けのようなものだ。
自分の選んだ道によって次の物語が変わる。元々決まっていたものなのかもしれないが、私はそうは思わない。いつでも自分の意思や行動により人生の内容が変わる。
私の最初の記憶からエピソード1は始まる。これは私だけのエピソードだ。
例えば、母親、父親からすれば、私が生まれた日のことはエピソード1ではないはずだ。幼い頃のこと、学生時代、大切な人と出会った日のこと、様々な出来事があったはずだ。
-episode1-
生まれた日のこと、生まれる前のことは覚えていない。最初の記憶は4歳になる前の出来事だ。
その日は母と夕方からお友達の誕生日プレゼントを買いに本屋さんにいく約束をしていた。夕方まで時間があり、昼寝をすることにした。
しかし、目がさめるとさっきまであった母と兄の姿がなかった。
約束したのに声もかけずに誕生日プレゼントを買いにいってしまったのか。
悲しく、悔しくなり
やっと歩けるようになった年頃の弟を連れ出し飛び出した。
外の世界のことは今でも鮮明に覚えている。
靴も履かせず裸足で歩く弟の手を繋ぎ、車通りの多い道を歩く。
横切るトラックがとても大きく見えた。
目的地もわからず目的地を目指し、唯一覚えていた近所のマクドナルドに到着した。
レジを待つお客さんの列に並んだ。
そして、自分たちのターンになった。
しかし今では考えられないほどカウンターが高く、店員さんの顔が見えない。
こんなに自分が小さいことに驚いた。まるでコナンのような気分だった。
わざわざカウンターからまわってきてくれた店員さんに、○○書店はどこにありますか?と訪ねた。
すると丁寧に行き先を教えてくれた。
お礼を言いマクドナルドを去る。
振り向くと、とても心配そうな顔でこちらをみていたお姉さんの顔が今でもぼんやり思い出せる。本当に助かった。
しばらく歩き、○○書店に到着する。
思いのほかマクドナルドから近くてホッとした。
店内を隅から隅まで探しまわるが、母と兄の姿はなかった。
もう帰ってしまったのだろうか、行違いだったのだろうか、いや、今頃レストランでデザートでも食べているのだろうか。
様々な憶測が頭を過る。
自然と涙が溢れてしまった。
昼寝をせずに一緒にお出かけをしていれば、今頃は誕生日プレゼントを買い、デザートを食べて帰っていたのだろう。
こんなにも楽しい出来事があったのにどうして約束を破るのだろう。声をかけてくれればいいだけだったじゃないか。
悲しみと怒りが混ざり合い、弟を連れて途方に暮れることにした。
とは言え、行く宛などない。
夕日が沈み始め、一日が終わるのを感じながら近所の公園のブランコに座る。
弟は文句も言わず泣きもせず何が何かわからないまま私の言うことを聞いてくれた。
ボーッとしていると日が暮れた。
これからどうするかを考えていたらバイクが通りかかり、ライトが此方に向いていてとても眩しかった。
よくみると近所のおじさんだった。
おじさんは私たちを見つけると、とても安堵した表情だった。
その瞬間、事態は大ごとになっていたことに気付く。
家へ連れて帰られると、町中の人や警察が私と弟を探しまわっていたことを知る。
母親はたくさんの人に電話して、子供達が見つかったことを伝えていた。
弟は家に着いてから泣き出した。
とても怖かったのだろう。
私は一連の流れを母親に話し、どうして約束を破ったのか問いただした。
すると、昼寝をしていたので起こすのも可哀想だから兄と出かけ急いで帰ってきたと私に伝えた。
帰ってきたら幼い弟もいなくなっていたので心臓が止まるかと思ったと言っていた。
怒りが収まらなかったが、
私のために大好物のお寿司とチキンを買ってきてくれていたので今日の日のことは無しにしてあげたのであった。
とても長い一日だった。
これが私の一番最初の記憶。
エピソード1だ。
それから時は経ち、次の大きな記憶、エピソード2に突入する。