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来月6月1日から『食品衛生法』が改正されることによって、小規模の漬物製造業者が大量に廃業に追い込まれる可能性がある。

これによって『昔ながらの方法できちんと作られた漬物』が相当数減ることになるかもしれない。

例えば、『道の駅』とか『地域のスーパー』とか『産地直送』などに卸(おろ)されている本当に美味しい漬物。

『おばあちゃんの漬物』とか『おばあちゃんの梅干』とか。

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どういうことかというと、国際的な食品の管理方法を定めた『HACCP(はさっぷ)』という基準に日本も合わせよう、ということによるもの。

このきっかけになったのが2012年に北海道で起きた『O157』による集団食中毒事件。

地元企業が作った浅漬けで8人が亡くなった。

これによってきちんとした衛生基準で食品を作りましょう、ということになった。

聞けば納得する理由ではあるが、この改正食品衛生法の元となったのが国際的な基準の『HACCP(はさっぷ)』だ。

食中毒菌での汚染や異物の混入等を事前に防ぐ上で、材料の仕入れから製品の出荷までの全ての工程で、製品の安全性を確保する国際基準のようなもの。

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これによる従来からの変更点は、

1.作業場は、水洗いができる床、壁にする。

2.冷蔵庫は庫内の温度が分かるものを使用する。

3.流し場は、独立した手洗い場を含めて3つ必要(手洗い用、食材用、器具用)(加えて手洗い用の蛇口は直接手で触らなくても開栓、閉栓できるものであること)。

4.専用のトイレを設置すること。

5.『届け出制』から『許可制』に変更。

など

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これによってこれまで小規模の個人が自宅で作っていたるような漬物は、もう売り物としては出せない、ということにつながる。

そのほかに、これまでトイレは自宅と兼用でもよかったが、トイレを新設しなければならない。

水洗いができる床、壁が必要ということは、床や壁を防水建材に変える必要が出てくることもある。

冷蔵庫を買い換えたり、流し場を増設したりとなると個人で小規模に作っているような漬物屋さんは資金的に非常に大変だ。

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食品を安全に、という聞けば納得するような法改正だが、きっかけが2012年のO157の食中毒であるなら、『今から約30年前に流行ったO157』はどうなんだ?

当時、ひろしはバス会社に勤めていて、外食事業の経理を担当していた。

あのときに全国的にO157が発生した。

にも関わらず、全国的に発生したO157は無視されて(それでもこの件をきっかけに法改正などはあっただろうが)、北海道の一業者の事故が元とは。

全国で相当数の漬物が小規模で作られているが、その中のホンの1社が事故を起こしたからと全国の基準を変えるのはやり過ぎではないだろうか。

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そして、本当かウソかは定かではないが、この法改正の裏の事情が『日本人が漬物を食べないようにする』というのがあるとか。

漬物は発酵食品で、健康に非常によい。

例のバカふざけた感染症で、日本人に被害が少なかったのは日本人が漬物を食べる習慣があったので罹患することが少なかった、とも言われている。

そのため、何とか日本人を不健康にするために講じられた施策のひとつ、とも言われている。

今回の法改正では、設備投資ができる大手、大量生産できる食品メーカーにとっては有利だ。

ところがご存知のように大量生産している漬物なんてものは、短期間で無理矢理作るから『食品』というよりは『エサ』に近い。

発酵食品なんかではなく、残骸。

健康なんか無視されたようなものが多い。

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小規模業者の弱いものイジメであったり、国民の健康を蔑(ないがし)ろにしているとも捉えられる。

聞けば、醤油を作るときも、木の樽がこれまでのように使えなくなっているようなことも聞く。

(つまり、ステンレスの桶を使え、ということ)

衛生基準を上げる、というと聞こえはいいが、現在の基準で頻繁に実際に事故が起こっているか、ということも考える必要がある。

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愛知県のとある道の駅のようなところでは、これまで50社(人?)くらいの漬物作りの方が卸していたが、6月からは4~5社(人)くらいに出荷する人が減るそうだ。

これからはキチンとした漬物は、家で作る、ということになりそうだ。