「それにはね…」


「それには?」


「ストイックにならないといけないわ。

満たされちゃいけないの」


「でも、僕は小夜子に満たされたいし、

小夜子を僕で満たしたい!」


「でも、そうしたら、私たちはいずれそれで

満足しちゃうわ。私たちはそんな快楽を求めるような

関係じゃないのよ。

いい、満たされないし、満たしてもあげれない、

そう考えるだけで、もっともっとお互いを求めるようになるの

快楽じゃなくて、お互いの存在自身を求めるようになってくるのよ。

そして、だんだん、狂うようになってくるの。

狂って、憎くなって、愛しくなるのよ」


「あぁ、それはいい!僕は君に狂うよ」


「私も貴方に狂うわ」


ああ!いいね!

なんていいんだ!

もう、先に進むしかない。

僕に小夜子を拒むことはできない、

もし、仮にそんなことをしたら、小夜子は死んじゃうだろう。

僕も小夜子に拒まれたら死んでしまう。

それだけ、小夜子にとって僕は重要。

僕にとっても小夜子は重要。

うん、幸せ!


「それでね、そういう関係を保つために、

ルールが必要になってくると思うの」


「ルール?」


「そう、ルール。貴方に守れるかしら?」


「もちろん!」


「まぁ、頼もしいのね」



小夜子は紙にそのルールを書き始めた。

いったい、どんな内容になるんだろう、

僕にそれを守れるだろうか?もしできなかったら?

そんなことを考えているうちに、

小夜子はルールを書き終え、僕にその紙を渡してくれた。



ルール1

会うのは週に1回

そのあう日以外はお互いに干渉しないこと



ルール2

合う時間は90分



ルール3

待ち合わせ場所はいつもの喫茶店



ルール4

会う日時は交互に決めていき、メールで連絡する。

会う日を指定したほうが、15分前に喫茶店で待つ。

指定された方は時間通りにつく



ルール5

キスまでOK



ルール6

キスは相手の同意が必要



ルール7

相手を殺したいと思ったら殺してもいい。

その後、必ず後を追うこと



ルール8

自殺は駄目



ルール9

ルールをやぶったら

ペナルティが課せられます。




……難儀だな。