「いきなり、どうしたんですか?
私が真剣じゃないように見えるのですか」
「見える」
「どうして?」
「君はふざけすぎだ」
「例えば」
「最初の告白」
そう、僕はあれが一番解せなかった。
「…そうですね、確かにあれはふざけすぎ
だったのかもしれませんね…他には?」
「君の態度」
「私の?」
「君は、僕のことを好きといいながら、
一歩引いたところにいるような気がするんだ、
君は気づいてないかもしれないが、
僕はそう感じてる」
「他には?」
「……紫ちゃん」
そう言うと、三代子ははっとなる。
「望さん、あなた…」
「君のお母さんから聞いた」
「そうなの…」
「君は過去を忘れられないんじゃないのか!
あの失恋の痛みに耐えられない、
だから、僕から一歩引いて、深みに入り込まないようにしている。
そこが、真剣じゃないように思わせるんだ」
「じゃあ、あなたは!あなたは私が好きなんですか!?」
「えっ?」
「あなたはずるいです!私があれだけ好きと言ってるのに、
それを返してくれないじゃないですか!」
「それは……」
「確かに、あなたから一歩引いたところに
いるようにした…でも、それは、最近になってだわ」
「最近になって?」
「だって、あなたは私を一度も好きとも愛してるともいってくれないし、
そういう態度だって見せてくれないわ、
最初であったときと一緒よ!
あなたは、優しいから付き合ってくれてるのでしょうけど、
肝心な部分は見せてくれない。
そこがわからなかったら、ただの偽善じゃないですか!」
……言い返せない
「過去の出来事が頭をよぎったのも、
あなたが、何もしてくれなかったからです。
ちゃんと、言葉で言ってくれたり、態度でしめしてくれたりしたら、
私だって、あぁ、この人私のことを好きなんだわ、ってわかります。
でも、あなたは何もしてくれない。
いつも、曖昧で好きなのかそうじゃないのかもわからない。
このままだったら、私たち別れるのでしょう。
そう、思ったら…思ったら…」
三代子が泣きながら言葉を続ける
「また、あんな思いをするのは嫌なんです!
私、あの時、ほんとにどうしようもなかった。
失恋なんてするものじゃないわ!
失恋するくらいなら、恋をしない方がいいと思ってたもの。
だから、私はずっと恋愛から遠ざかってた」
…遠ざかってた。
「でも、あなたと出会った」
…なんだ!?何か、おかしい。
「いいですか!私、最初から真剣だったんです。
私は、真剣になれない恋愛なんてしませんし、
その逆もしかりです」
「じゃあ、何が君を真剣にさせたんだ!
まさか、直感っていうんじゃないだろうねぇ」
「実は、私望さんに隠してたことがあります…」
「え!?」
「私…初めてじゃなかったんです」
……
「私、少し前からあなたを知っていたんです!!」