「あの世にやさしさは持っていけない」 | ことばでひろがる和・輪(ブラジル編)

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諸行無常の日々をことばを通して世界中の人々と心が通い合う瞬間が何よりの幸せ!に感じる日本語教師の他愛のない日常。只今、ブラジルにて修行中。

これは日系2世Tさん(84)のお言葉。これまで私のブログにも度々登場してるカラオケクラブのTさん。(http://ameblo.jp/satomincafe/entry-11009488950.html

毎回、「T語録(?)」を聞かせてもらっては「目から鱗」を落としている。


先日、「タッパーを3つくらい持ってきなさい。」と電話をもらい、Tさん宅を訪ねた。私のアパートからほんの300M の建物に一人で住んでいらっしゃる。色んな話を聞かせてもらいながら、タッパーにたくさんの「おかず」をいただいた。


「私は自分ではあんまり食べんけど、孫や子どもや誰かに分けるのがすき。だから、料理をするんですよ。あの世にやさしさは持ってけんでしょ。だから、今、みーんな使ってるとですよ。」(Tさんからいただいたおかず。ワッフルも!)
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この言葉にはいつも以上に多くの鱗が目から落ちた!!


これまで「財産」「お金」とか物質的なモノだけを「あの世に持ってけない。」と決め付けていた。そんな貧しい思想の自分を恥じた。


そして、心から「何と心の豊かな人なのだろう!すばらしいな~!!Tさんのようなモノの見方ができるような人間になりたい!」と切に思った。こりゃ、弛まない修行が必要である!私も生きてるうちに「やさしさ」をたくさん使おう!


Tさんには日本のドラマのDVDも貸していただいた。その中に橋田壽賀子の「99年の愛~Japanese Americans~」全5編(TBS開局60周年記念特別企画)。これは日系アメリカ人を描いたもので、戦前の日本からアメリカに渡り、アメリカで一旗あげようと、人種差別に立ち向かい、並々ならぬ努力をした日系移民の物語である。



恥ずかしながら、初めて知る事実もあり、「日本人として」知識のなさをまたもや反省。見ていないかたは是非!DVDになってます。一気に5編見てしまった!「日本人」である私と「日系2世」であるTさんとは感じ方が違うのだろうなあ。今度、聞いてみようと思う。


ブラジルの日系人を描いた「ハルとナツ」(NHK開局80周年特別企画)http://www.nhk.or.jp/drama/harutonatsu/ もすごかったけど、さすが壽賀子さん、すごい!こちらも併せてご覧ください。やはり、「日本人」として知らなければなりません!!涙なしでは見られません!


今週の動向・・・・・


月曜日の「老人クラブ」が9名に増えました!!(涙)



ラジオ体操に加え、氷川きよしの「ズンドコ節」で行う「ズンドコ体操」もやっています。


シリアに行く前、会社を辞めて日本語教師の道に進むと決めた時、「ホームヘルパー2級」を取りに行きました。3ヶ月みっちりやってもらい、グループホーム、デイケア等にも1週間行き、「レクレーション」も学ばせていただきました。プロの介護職の方には到底及びませんが、ここで確かに生かされております。


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火曜日・・・子どもクラスに新しい生徒が入りました。


私のアパートの近所の化粧品店の息子F(11歳)。


両親は10年ほど日本に出稼ぎに行っていたそうです文協(日系人協会)の会員じゃないため、これまで日本語学校の存在を知らなかったそうです。やはり、広報活動がもっと必要であります!


日本語を学ぶのは初めてのようで(日本生まれですが、育ったのはブラジルです)目をきらきらさせながら、「あいうえお」から勉強している姿に、胸から熱いものがこみ上げてきて、涙が出そうになりました(涙)


Fにとっての日本語、日本はどんな風に映っているんだろう。一つの「喜び」となっているのだろうか。「日系人」としてのアイデンティティーにも少なからず影響を与えるここでの日本語教育。


大きな責任を担っております!気合を入れて、心から子ども達に向き合わなければ!


水曜日・・・先週から「2世クラス」も開講。


会話は不自由のない2世(推定平均年齢68歳)の方々も「書く」ことは学べなかったそうです。


それもこれも戦争中、連合軍側のブラジルでは日本は敵性国であり、「日本語が禁止」となっていました。無論、日本語学校も閉鎖、日本語で話すことも、日本人同士で集まることすら禁止されていました。


そんな時代を生きた皆様からの熱い要望でこのクラスを開講したのです。


一生懸命「あいうえお」を練習される皆様の姿にまたもや心打たれました。最後に「しあわせの歌」でディクテーションを行い、皆さんで合唱。


高齢者の皆様にとっての日本語、日本はどんな風に映ってるのだろう・・・2世クラスに続き、夜の成人クラスでの壮年期の皆様にとっての日本語は・・・と考えさせられた今日この頃。各々の世代で日本語学習の動機やまたあり方を残り1年9ヶ月で答えを見つけたいと思います。




2世のTKさんは授業開始1時間前に来られ、ひらがなを練習されました。


そこで「あい」「かき」「あお」等、ひらがなを読み、意味を答えるという練習をしました。「かい」のところで私は海にいる「」を想定したのですが、TKさんは腕を掻きながら「かい~」と答えました!


なるほどかゆい!全く予想だにしなかったので、これまた度肝を抜かれました!家に帰ってから、何度も思い出し笑いをしてしまいました(笑)


西日本出身者の多い日系社会では方言が多く残っています。成人クラスでも「好きの反対?」との質問に「すかん」との答えが。そうだよな~。私も九州にいるときは「きらい」より「すかん」を使っていました。方言も歴とした日本語です!





そんなこんなで昨日ホワイトボードも壁に取り付けてもらい、「よっし!」と気合を入れ直したのでした。(写真は8月29日の授業初日のもの。壁に取り付けてもらい、教室ができてきました!)


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「暇は自分で作るもの。忙しいっていってもちょっとくらい暇は作れるでしょ。」冒頭のお言葉をくださったTさんが老人クラブでおっしゃったお言葉。


つい「忙しい」と言って、やらないことを増やしています。


少しでも自分の努力次第で5分でも10分でも時間は作れるものですよね。


先日、日本にいる祖父母に電話をかけました。これまで絵葉書は数回出していたのですが、電話はしていませんでした。これも「葉書出したから。また今度」と言って、のびのびにしていました。受話器から聞こえる声に嗚咽してしまいました。やっぱり直に声を聞いたほうが安心できるし、やっぱりうれしいですね。「努力」をしていなかったことに大反省・・・これからちょくちょく電話をします!!