郵便局からの帰り道。近所のお屋敷の、高い塀
の横を歩いていると、声が聞こえてくる。
裏庭の辺りね。
「ここに おいれ(おいで)」
「そんなとこ行くのぉ、あおい」
お爺ちゃんとお孫ちゃん。
蝋梅の、甘い香りの青空の下、
なんと穏やかな時間でしょう。
お婆ちゃんの笑い声も聞こえてくる。
お爺ちゃんはね、私たち大人と話す時は
いつだってケンケンした声なの。
8年程前には、まだ大お爺ちゃんもいて、
徘徊するわ、病院で暴れるわ、
大変だったのよ。
最後にその大お爺ちゃんは、地元の秋祭りの
前日に亡くならはって、
親戚で子ども会の役員を務めてた人たちが
お祭りの当日にごっそり抜けて、
私たちも大変だった記憶しかない。
だから私の中で、お爺ちゃんの声は
ケンケンした感じに響くものだったけど、
塀越しに聞こえてくる孫とのやり取りは
これまで一度も聞いたことのない穏やかな声。
「色々、乗り越えはったんだ。」
ホロリとしました。
そう言えば同居してて、うちの義父母さんも
だいぶ丸くならはったなぁ。。