こんにちは!

カウンセラーの 田中里美 です。

 

究極の「優しさ」や「愛」とは‥

「自分の命を削っても‥相手の幸せを優先すること」なのでしょうか?

今回は‥そんなお話です。


まず‥  書籍紹介 →   勝手に考察 します☆  

 

『 幸福な王子 』オスカー・ワイルド 著

イギリスの有名な童話で、多くの子供たちが読み、親しまれてきた物語です。


※注意※  ネタバレあり



《 あらすじ 》

ある街の真ん中に「幸福な王子」と呼ばれる像が立っていた。

両目には青いサファイア、腰の剣の装飾には真っ赤なルビーが輝き、体は金箔に包まれていて、心臓は鉛で作られていて、とても美しい像だった。



人々は知らないが、この像には、昔この国で幸福な生涯を終えた‥王子の魂が宿っており、故に「心」を持っていた。

王子はこの町に、貧しく不幸な人々がいることを、嘆き悲しんでいた。

 


ある日、エジプトに旅に出ようとしていたツバメが、王子の像の足元で休息していると‥

王子が涙を流していることに気づいた。



王子はツバメに頼み事をした。

「不幸な人々に、自分の宝石をあげてきて欲しい」



ツバメは言われた通り、

王子の剣の装飾に使われていたルビーを、病気の子供がいる貧しい母親に、

両目のサファイアを、飢えた若い劇作家と幼いマッチ売りの少女に‥渡しに行った。



ツバメは、両目をなくし目の見えなくなった王子の役に立ちたくて、旅を中断した。

街を飛び回り‥貧しい人を探し、王子に伝えた。

王子はツバメの話を聞き、不幸な人々に自分の体の金箔を剥がし分け与えて欲しいと頼んだ。



やがて冬が訪れ、王子の身体から金箔は無くなり、みすぼらしい姿になった。

南の国へ渡り損ねたツバメも次第に弱ってきた。



死を悟ったツバメは最後の力を振り絞って飛び、王子の頬にキスをし‥彼の足元で力尽きた。

その瞬間、王子の鉛の心臓は音を立て二つに割れてしまった。



ボロボロになった王子の像は、心無い人々によって柱から取り外され、溶鉱炉で溶かされたが、鉛の心臓だけは溶けず、ツバメと一緒にゴミ溜めに捨てられた。

 


天国で、下界の様子を見ていた神は、天使に「この街で最も尊きものを二つ持ってきなさい」と命じた。

天使はゴミ溜めから「王子の鉛の心臓」と「死んだツバメ」を持ってきた。

王子とツバメは神の力で、楽園で永遠に幸福になった。

〜 終 〜

 

☆☆☆



自分の身を削っても、人々の幸せを願った王子と、そんな王子の役に立てたことに、喜びを感じたツバメのお話です。



王子は「貧しい人々のために」

ツバメは「王子のために」

身も心も‥命までも削っていったのです。

 

「他人の幸せ」を優先し、そのためなら自分はボロボロになっても構わない。

しかも「見返り」も「賞賛」も、求めない。

これこそ‥  究極の「優しさ」であり「無償の愛」というものなのかもしれません。



私は、美しい話だと思うのですが、これは物語の中のことです。



考えてみてください。

現実に‥こんな人はいるでしょうか?

 


あ、、、

「母親が子を守る心」はこれに少し近いかもしれないですね。


母親は「自分を犠牲にしても、我が子を守ろう」とする本能が備わっていると言われています。

※本能的な話です。もちろん「母親」だって「我が子のため」優先と思えない状況もありますよ。


 

王子もツバメも、自己犠牲により守ろうとした相手は「我が子」ではありません。


だから私は、

この物語を、美しい話だと思いながらも、

共感が難しいものでした。

 


「我が身を削ってまでも、人のために行動すれば、神様は見てるから‥必ず報われる」という教訓を伝えたいことは解ります。


しかし、それでいいの?


王子とツバメに対し‥

「人に尽くしてばかりで‥  自分のことは大切にしなくていいの?」という気持ちになってしまいました。

 ☆☆☆

 


世のため人のために‥とか、

家族のため、周囲の人のために‥とか、


それも大切だけど、自分も大切にしようよ〜!

 「自分」も大切だし、幸せになりたいですよね!


 



私自身‥自分より人を優先し、自分を大切にしなかったことがあります。

でも、正直、苦しさがありました。

 


「私も幸せになりたい!」‥当然ですよ!

後からでもいいので‥自分の心と対話し、自分の本音を自覚しておくことが、心のメンテナンスになります。


 

気づいた時が、第一歩です。

自分を大切にしていいのです。

自分を大切にすることに、罪悪感はいりません。


まず自分を救わないと、相手を救うことは無理ですよ。



美しい物語は、物語として‥心の中に‥


だけど、

現実を生きる私たちは「幸福の王子やツバメ」に、ならなくていいって思います。

☆田中里美☆