反対の面にもヌリヌリ。
転がるうさぎ
免許返納の続きです。
駐車違反もしちゃったのよ。
めんどくさいからほったらかしておいたら、ある日書類が来たの。簡易裁判所ですって。
そのとき、警察って律儀なのねと思ったわ。(世間知らずにもほどがあるわね)
今でもたまに固定資産税を払い忘れて督促状が来るの。自動引き落としにすればいいんだけど、手続きするのもめんどくさいわ。
払うほうには積極的にはなれないのよね。
確定申告はめんどくさいけどやるわよ、返してもらえるから。
もともとこういう性格だから、運転には向かないはずよね。
車を買ってくれた父、運転手に使わないともとがとれないと思ったのか、ある日、同乗することになったの。
命をかけるなら一人でやればいいのに、男というのはしょせん気が小さいのか、母を道連れにしたわよ。
まあ、家族三人で近所へお買い物。
二人とも運転ができないことが救いだったわね。
まず、自宅の駐車スペースから車を出さなきゃいけないけど、魔の縦列駐車の形になっているの。
いつも、あの教官の罵倒を思い出しながら出したものよ。出すのはまだましね、もちろん無傷ではないわよ。運転手側の横のお腹、傷だらけ。
傷なんて気にしていたら、出せないのよっ!
入れるときは、多少道路に出ていても気にしないわ。だって、入らないのよっ!
そして無事スーパーについて、3台分のスペースを見つけたら頭から突っ込む。さすがに、どこかには入るわね。
買い物を済ませて、やれやれお家に帰ろうと運転席に乗り込み、余裕でキーを回したわ。
アクセル踏んでバックして、ブレーキかけてとめようとしたら、後ろにぐいんと進んだっ!
幸い後ろにはだれもいなかった。
我ながら冷や汗をかいたわ。さすがに「この車、壊れている」とは思わなかったわよ。
父も母も目がまん丸だったわね。
これ、ここのところよく報道されている事故よね。人でもいたら犯罪者よね。
私、運だけはいいのよ。
その後、父も母も二度と乗りたいと言わなかったわ。
赤い車は、うちの駐車スペースでオブジェと化したわよ。
ほこりが大分つもったころ、父が「この車、邪魔だな」と。
父の送迎計画もついえたようね。
まあ、DNAのなせる技だから、自業自得? 因果応報ってやつかしらね。
そして、車はドナドナのように売られていったわよ。
で、それから何十年と免許証はゴールドのままで身分証がわりになっていたの。
さすがに、60歳を前に、「要らねえな」って思ったわよ。更新するとお金もかかるし。
というわけで、返納して身分証として使っているの。何だかむなしいわ。
その父が植えた梅の木、老木だからこれしか実がつかないんだけど、ジャムにしましょう。

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