5月8日の憲法審査会では、緊急事態への対処の一環としての

「参議院の緊急集会」に関して各種議論を深めるべき旨の意見を、

自民党を代表して申し上げた。

 

衆議院の任期満了時について、

衆議院の解散時と同じく緊急集会の開催は可能かという議論がある。
緊急集会が衆議院議員不在時において可能な限り民主的

かつ暫定的な措置をとるための制度であることを考えると、

衆議院の任期満了時においても内閣の求めに応じて速やかに

開催可能であり、緊急事態に対処すべきと考える。

 

緊急集会の期間については、最大で70日を超えることはないと考える。

根拠は憲法54条1項である。

同条では、総選挙は衆議院の解散から40日以内

かつ特別国会召集は総選挙から30日以内と定められている。
70日という日数は、大規模自然災害等による被害と影響を

抑えるうえで重要な期間であり、

衆議院議員不在の状態を総選挙で解消するうえでも重要である。

この期間、国政を支える緊急集会の責務の重さを

参議院は自覚しなければならない。

 

緊急集会で参議院議員が発議できる議案の範囲についても議論がある。
緊急集会の意義(衆議院議員不在時における民主的統制の維持)や

衆議院の事後同意が得られない措置の失効を考慮すれば、
①内閣が示した案件に関連している
②その施行について、特別国会の召集まで待てない「即時性」を有している
という範囲で、広く認めるべきではないかと考える。

 

大規模自然災害の発生等、緊急の必要がある場合に衆議院が解散中

かつ参議院の緊急集会を待ついとまが無い時は、

内閣は災害対策基本法が定めた事項について必要な措置をとるために

緊急政令を制定するが、制定後は直ちに参議院に緊急集会を求めることになる。
そうなると、参議院は迅速に緊急集会を開く必要があるが、

そのために何をなすべきか、参議院は早急に検討を始めなければならない。
過去の例では、内閣の請求から3日で緊急集会が開かれている。

大規模自然災害等を考えると、3日より長い期日を要するわけにはいかないだろう。

そして、迅速な開催のための手順(議員への開催日時や場所の伝達)、

議事堂が使えない場合の代替場所の確保等、

法制面や実効性の観点から検討が必要な事項を洗い出す必要がある。

まずは現行の手続きに従って各種事態を想定したシミュレーションを行い、

問題点を確認する必要があると考える。

 

そのシミュレーションを行うにあたって、参議院は首都直下型地震発生時における

「BCP(事業継続計画)」=機能維持のための緊急対策実施計画の作成を意識すべきである。

内閣は緊急災害対策本部の設置場所の順番等を定めているのに対し、

現時点で参議院は緊急時を意識したBCPを有していない。

憲法審査会において参議院事務局等から説明を受けることから始め、

BCP作成に関する問題点の洗い出しを行うべきであろう。

 

以上、「参議院の緊急集会」に関する様々な意見を申し上げたが、

衆議院議員不在時の緊急事態に対処すべき制度であり、

万に一つもゆるがせにできない事柄である。

国民の生命と財産を守ることについては、常に思いを巡らせていきたい。