ミリオン座にて鑑賞。

フランス、2000年に実際に起きた女性の失踪事件がベースになっている。夫が妻を殺したと疑われ、事件から10年経過した時点で始まる二審が舞台。夫の弁護士側の視点で物語は進む。映画では、確たる証拠もないのに世間やマスコミが夫を犯人扱いする様が描かれる。誰かを犯人にしたがる大衆の心理を第三者的に愚かなことだと眺めていたが、後半では主人公とともに観客である自分も証人の1人を犯人だと疑う視線を持ち始めていることに気づき、ドキリとさせられる。証人たちの証言の欺瞞が暴かれる場面、最終弁論の場面は、すごい緊張感で素晴らしかった。学んでもなかなか身に付けることができない推定無罪について考えさせられる映画だった。何があっても強気の主人公が、最後には涙を流すところは感動的だった。