ミリオン座にて鑑賞。

1930年代前半のソ連が舞台。「ホロドモール」という言葉を初めて知ったが、スターリンの政策による「飢餓による殺害」を意味する。ガレスジョーンズというイギリス人記者が、恐慌下の世界で経済繁栄を続けるソ連の秘密を調査するうち、ウクライナで飢餓が発生している事を突き止める。前半、記者がモスクワで調査活動を始めるところはとてもスリリング。様々な登場人物やパーティ、監視社会に翻弄される主人公から目が離せない。記者がウクライナについたあたりから、画面は色をなくす。「狂うほどに飢えている」というチラシの文句を体感する。子供たちの歌が心に突き刺さる。その後の記者の運命にも、暗澹とした気持ちにさせられる。それでもこの映画が作られて、ウクライナ以外の人々にこの事件が伝えられたということは、素晴らしいと感じた。

パンフレットには、ここ最近の映画「スポットライト」「ペンタゴンペーパーズ」「記者たち」「新聞記者」が取りあげられていた。監督の言葉「現代世界は、20世紀において最悪の時代の様相を呈し始めている」は、他の映画でも共通している。ジャーナリズムの責任だけではない。僕は残りの二つ、権力の集中と人々の無関心を心に留めたい。