ミッドランドスクエアシネマにて鑑賞。

結合双生児として生まれたドクさんのドキュメンタリー。亡くなってしまったベトさんへの思い、見放した両親への複雑な思いなど、なかなか他人に明かしたくないようなことまでハッキリと映し出されている。日常の困難さも感じられるが、夫として父親として、淡々と生活する。枯葉剤による被害者も、まだ発生している現実。生きて語ることが、そのまま平和に貢献している姿に感動する。

ミリオン座にて鑑賞。

ウクライナでの戦争が始まってから20日間、真っ先に攻撃目標となったマリウポリで、その現状を伝え続けたジャーナリストがいた。一般住民の住宅や病院への攻撃。妊産婦や子どもの被害者。数多くの死体。世界中に伝えられた重要な映像が、ジャーナリストの勇気によって伝えられた。NHKのドキュランドで2回に分けて放送されていたが、今回映画館で上映され、パンフレットも作られた。監督の詳細なコメントや、専門家等のコラムが掲載されている。映画監督の森達也さんのコラムで、「映画の中に静謐さがある。自分たちの生活の延長線上に、戦争がある」という文章がとても印象に残った。映画の中でも、非常に緊迫した場面が出てくる。ロシア側に捕まれば、拷問等でフェイク映像であると言わされる可能性も示唆されていた。撮影された映像が、こうしてドキュメンタリー映画になり、アカデミー賞はじめ高く評価されていることは、とても意義深い。戦争が引き起こす非人道的な光景が、永遠に残ることとなった。

ミリオン座にて鑑賞。

2021年9月、ポーランドとベラルーシの国境が舞台。ロシアともにEUと対立するベラルーシ政府は、中東からの難民を一旦ベラルーシへ受け入れ、ポーランド国境へ押し出す、人間兵器という作戦を実行する。ポーランド政府は、越境していた難民を再びベラルーシ側へ押し戻し、極寒の森の中で難民たちは命を落としていく。現在も続く状況の物語で、難民、国境警備隊、救済活動家三者の目線で描かれる。監督は「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のアグニエシュカ・ホランド監督。前作に続き、本作でも素晴らしい作品を作った。ベラルーシ、ポーランド国境の過酷な状態に胸が痛む。お互いの国境警備隊から罵られながら、邪魔者扱いされる人々。外国人排斥、差別主義のナショナリストたちによる誹謗中傷。東ヨーロッパのリアルな現実を突きつけられる。ポーランドの法律を犯して、立入禁止区域へ向かうことについて心配する人に、活動家が発する言葉、「人を助けることは合法」。力強いその言葉に、とても感動した。映画の最後に、ウクライナからの難民は受け入れて、中東からの難民は受け入れない、ポーランド政府のダブルスタンダードが明らかにされる。この物語は、決して遠い東ヨーロッパの話ではない。日本政府も難民の人権を無視し、過酷な収容所へ閉じ込め、帰国すれば間違いなく殺される難民を容赦なく送り返す。ウクライナとそれ以外のダブルスタンダードも明らかだ。