映画『ロング,ロングバケーション』。
アルツハイマーが進行中の夫と
末期ガンと抱えた妻が自由気ままな旅に出るロードムービー。
監督は、『歓びのトスカーナ』で、
過去の深い傷を共有した女性二人の友情と逃避行を描いた、パオロ・ヴィルズィ。
デリケートなテーマを含みながらも、登場人物のアクの強さ、その強烈な個性のパンチ力で、
やたらと明るい強さをくれた作品でしたが、
思えば『歓びのトスカーナ』も「車を使った旅」の物語でしたね。
あの時はクラシックカーでしたね。
今回の『ロング,ロングバケーション』は、
ガタのきた、でも生活感がいとおしくなるようなキャンピングカーに乗って、
これもある意味、心配性の子供達からの、
あるいは体を蝕む病気からの逃避行!?と言えるかもしれません。
老いや死をテーマにしながらも、
パオロ監督らしいカラッとしたおおらかな作風で、全くじめっとしません。
そして、これも、この監督らしいですが、
人間らしさが存分にあらわれている「人生讃歌」。
いつかは訪れる人生の終わりを恐れる私たちに、
「生きることを愛しなさい」とメッセージを投げかけてくれいているように感じました。