本当は当日に投稿するつもりが、スコットランドからロンドンに戻ったりしてバタバタしている間に忘れてしまった真顔 遅ればせながら…。

 

夕方のニュースでMaggie Smithの訃報が流れた。89歳の生涯の中で、学生の頃からの演技活動は優に72年に及ぶ。

 

Harry PotterシリーズやDownton Abbyへの出演で、日本でもよく知られている女優で、ご存じの方も多いと思う。

 

訃報についての街頭インタビューや有名人へのインタビューでも、多くの人が笑顔で彼女のことを語っていた。その演技力だけでなくユーモアやウィットに富んだ人柄がそうさせるのだろう。

 

女優の場合、ある程度の年齢になると、引退してしまうことも多い。綺麗な姿だけをファンに覚えておいてほしいと思うのは、女性なら自然な感情だろう。

 

でも彼女は年老いていくそのままの姿、人が当たり前にたどるその姿のまま、スクリーンに立ち続けた。そこには見栄も衒いもない。その自然体の姿が人々に共感や親しみやすさを感じさせたのではないかと思う。

 

2019年のDownton Abbyの映画版、最後のシーンの舞踏会で、Maggie Smith演じるVioletが孫のMaryに「自分はもう長くない」と告げるシーンがあった。今日、訃報が流れた時、あのシーンは原作にあったのだろうか。彼女はあの時すでに自分の余命を知っていたのではないか。そのうえでこの作品から退くためにあのセリフを入れたのではないか」と思ってしまった。

 

ある女性が街頭インタビューに応えて、「彼女はいつも彼女だった」と言っていた。どんな役であっても、その役をこなしながらも彼女のキャラクターが良い味を添えていたように思う。決して役を作り変えてしまうのではなく、その役を完璧に作り上げながらも、彼女らしさが役に深みを加えていたというか…。なので、晩年の映画「The Lady in the Van」ではいつものユーモアやウィットが感じられなくて、ちょっと戸惑ったくらい。

 

とまれ、生涯を演劇に捧げ多くの人々を笑顔にし続けた名優の冥福を心から祈りたい。願わくは私も人を笑顔にできる者でありたいと思う。