今月から読み始めたフランス語の小説を、昨日読み終わりました。

 

フランス語の本、完読5冊目にして初めて、物語の世界に没頭して読み進めることが出来ました。そのことにまず感動。あ、自分で自分を持ち上げるタイプです。(もうみんなそれ、知ってる。笑)

 

読んだ本は、Âme briséeという本。直訳すると壊れた魂。Âmeというのが魂という意味と同時に、バイオリンの内部にある小さな柱のような木片のこともそう呼ぶのだそう。このお話は、そんな壊れてしまったバイオリンと魂にまつわる、国も時代も超えた壮大な物語。


(なんかボロボロ。笑)

 

ご自身もバイオリンを演奏される、よもかりマモンさんがブログでこの本について書かれていて気になり、そのうち挑戦してみようと思い、日本への帰国直前にフランスの書店で購入しておいた本です。

 

この本の著者はAkira Mizubayashi(水林章さん)という日本人なんです。でもフランス語への翻訳本ではなく、彼自身がフランス語で書いている小説。しかも、Kazuo Ishiguroのように幼少期に外国へ移住し(彼の場合はイギリス)、その国の言語で小説を書いているわけではなく、Akira Mizubayashiは大学からフランス語を始め、その後東大の仏文学科で博士課程を取り、その後仏留学しているという方。

 

ほぼ大人になってから学んだ言語で、こんな美しい小説を書けるなんて、本当に素晴らしいなー。

 

私が読む前に夫が読んで、すごい、って感動しておりました。そして友人で22年間日本に住んでいるフランス人女性もAkira Mizubayashiが大好きだと言っており、特に彼がたまにフランスの新聞に書いている記事にも感動することが多いんだとか。例えば最近読んだ記事で、日本人の習慣についてその心情を簡素ながら美しく説明している文章を読んだ時、22年間日本にいる彼女は、目の前が急に明るくなったような気がしたそうです。

 

ちなみに、この小説は本人が日本語でも書いており、「壊れた魂」というタイトルで出ているので、気になる方はぜひ。ということで、読む方もいるかもしれないのでネタバレの内容は控えるとして、仏語読書と、あと読書というものに焦点をあてて今日は書きたかったのです。

 

今回、物語の世界に没頭しフランス語を読み進めることが出来たのは、その物語の素晴らしさもあると思うのですが、フランス語であっても日本人が書いている、ということで、情景の表し方などが、もしかしたら入り込みやすかったのかな、なんて思いました。そして、例えば、戦後日本を離れた主人公が65年ぶりに日本に戻り、家があったあたりを歩くその場所が、渋谷の神泉なのですが、私が所有しているマンションが神泉にあり、とてもよく知っている場所なので、彼が歩いたかもしれない場所を頭に浮かべながら読み、彼の足取りを感じることでより一層物語が身近になったのかも。もちろん、わからない単語もたくさんあって、理解できていない箇所もあるんですけど。

 

素敵な本に出合った時、余韻って残りますよね?そして、その余韻を少しでも長く感じていたくて、本で紹介されているものにも触れたくなる。この物語では、2曲のバイオリン楽曲と2冊の本が出てきます。昨日はその曲を聞いておりました。そして出てきた本は小林多喜二の「蟹工船」と、吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」

 

蟹工船は昔読みましたが、はい、きた、「君たちはどう生きるか」。。。。

 

「君たちはどう生きるか」ブームに乗り切れず、少し経ったら映画も本も見てみよう、なんて思っていたのですが、今読むしか、ないかなー。

 

ということで、一冊の本は完了しても、その本を通じた体験の完了のために、あと一冊本を読もうとしているところです。

 

だから、読書っていいなー。

 

フランス語読書も継続しないと、って思ってますが、次も楽しめるのだろうか。。。次も楽しんで読めたらきっと自信になりますね。

 

水林章さんが日本語で書いている著書も読んでみたい。

 

彼、こんな本を書かれています。

「日本語に生まれること、フランス語を生きること 来たるべき市民の社会とその言語をめぐって」


めちゃめちゃ気になりますね、このタイトル。ということで、面白かったらまた感想書きますね。