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8.『導音の指使いに着目したきっかけ』のつづき。

前回は導音の指使いに着目したきっかけを書いてみました。
「アルテスはこの指使いで出る音色も出そうとしていたのではないか?」
ということをテーマに研究を始めてみると、
もう長いことフルートを吹いてきたのにこんなことも知らなかったのか!と、思い知らされることがたくさんありました。
その中でも一番大きかったのは歴史を今現在の視点でしかとらえていなかったということに気づいたこと。
今のフルート(円筒管ベーム式フルート)が最高の楽器で、過去のものを上から見下ろすような感覚で見ていたことに気づき、目から鱗が落ちる思いでした。
でも、過去に使われていた楽器を見ていくと
どの時代の楽器も当時の最新の楽器だったのです。
考えてみれば当たり前のことですが。
過去に書かれた作品が持つ歴史的背景、その中でもどの時代のフルートを想定していたのかを知ることがどれだけ重要か、そして時代様式を考慮して演奏することの大切さを改めて学ぶこととなったのです。

次回 10.『導音の指使いのための練習』