木祖村の薮原祭に行くときは、必ず立ち寄る場所がある。
生息地保護の観点から具体的にどことはいえないのだが、バイカモが自生している用水路があり、ちょうどこの時期に開花する。梅に似た花を付ける水草であることから「梅花藻」と命名されたこの草は、キンポウゲ科の多年草。その花がなければ、どこにでもありそうな金魚鉢に入れる水草のようである。清浄な低温度の水を好むバイカモは、全国的に見ても生息地が少なく、各地で保護がなされている。
白い花弁が、サラサラと走る水にユラユラと流れるようでいて、緑の中にとどまる様は、どれだけ見ていても飽きない。急流一杯にバイカモが繁茂し、花が群落をなす姿も良いのだろうが、この木曽の水路のように数粒の真珠が水面に浮かぶ姿も、これはこれで趣がある。
来年も、バイカモの可憐な姿を見に来たい。