天生法初術
写 12冊
和算家・会田安明が創始した流派である最上流は、彼の出身地である山形周辺にも広く受け入れられていたが、本資料は幕末期の山形の最上流和算家が残した資料の一つである。
各冊末尾に「鈴木」、「重栄」、「量軒」などの印があることから、山形の和算家・鈴木重栄(1829-1899)の旧蔵書であったことが分かる。
会田は自らの数式の処理法、方法論を「天生法」と呼んでいたが、本史料はそれに基づく雑題集である。この中には地域の和算家による出題も記されているが、注目されるのは「田中喜佐女織」による問題が一問収録されていることである。山形の最上流の中に女性の門人もいたことを示す貴重な記録である。