幼稚園や小学校への「お受験」って、親の方が緊張しますよね。まだ子ども自身はそこまで意識している年齢ではないんだけど、親が緊張していくので伝播してしまうケースもみられます。

 




でも、そこはある程度仕方ないでしょう。だって、お受験の準備は「親が8割、子どもが2割」という感じであると思うからです。親の方が力が入ってしまうのは当然と言えます。

 

うちの場合は、幼稚園受験、小学校受験ともに経験しました。私も小学校受験組です。近所にある私立としては大体みんなが希望する学校で、内部進学で高校まで行くことができます。

 

幼稚園受験や小学校受験では多くの場合、中学や高校で受験しなくてもエスカレーターで進むことができるメリットを期待しているのだと思います。私も当初はそうでした。合格したら受験という面倒な問題から解放され、子どもらしく遊び回ってもらいたいと思ったものです。

 



もちろん、のびのびできる校風を気に入っていた面もあります。個性を尊重し、それを伸ばすという教育理念に共感しました。でも、いくら校風や理念が良いと感じても、エスカレーターで高校や大学まで進むことができなければ、その私立を受験させていたかと言えばウソになります。

 

やっぱり、多感な時期に受験戦争に巻き込まれることなく、その時しかできない経験を楽しんでもらいたいというのが一番でした。だからこそ、まだ勉強漬けにしては可哀相な年齢で塾に通わせるわけです。

 

幸いにも、わが家の3人はいずれも第一志望の幼稚園、小学校に合格しました。個性や能力は同じ親から出てきても違うものですが、1つだけ共通していたことに気づきます。

 




それは「聞く力」です。このフレーズを並べると、岸田文雄首相を思い出してしまうかもしれませんが、やはりお受験にとっては「聞く力」が最も重要であると感じます。

 

お受験で大事な「聞く力」とは、単に人の話を聞くことを指すわけではありません。まず、他者が話している時に「目」を見ながら集中して聞くこと。それは話が終わる最後まで聞く姿勢を保てなければなりません。視線もあっち向いたり、こっち向いたりではなく、まっすぐと見つめられているか否かが問われると思います。

 

次に、大事であると思うのは「姿勢よく」聞くこと。落ち着かない様子で手や足をブラブラと動かしながら聞いているのではなく、やはり姿勢よく話を聞くことが求められていると思います。

 

そして、重要なことは「聞く力」には、「話を理解する」ことも含まれているということです。先生や友達の話をしっかりと聞いて、何か求められたら、その通りに行動に移せるかが大事です。

 






なぜならば、視線を合わせ、姿勢よく話を聞いているだけで話の中身を理解していなければ、「聞く力」とは言えないからです。指示を受けても求められる行動ができない人は大人にも少なくありません。この点はお受験でも問われるところだと思います。

 

私はよく子どもたちに、このように話してきました。

「くだらない話、笑い話の時は『聞く』で良いよ。でもね、人が真剣に話していると感じた時は魂を込めて話しているわけだから『聞く』だけではダメ。そこに心を込めて、しっかりと聞いていると『聴く』になるから。この漢字には『心』が入っているでしょ」

 

漢字はよくできていると、つくづく思います。「聞く」「聴く」は同じような意味を持ちますが、その中身は全く違うと思います。「心」を込めて相手が話している時は、こちらも心を込めて「聴く」姿勢が求められると思います。

 

お受験においては、ペーパーや工作、絵画といったものができるかも重要ですが、それ以前に「聞く力」がしっかりついているかは大切なポイントです。

 



お受験は「親が8割」ということを肝に銘じ、家庭の中で親が率先して、そうした姿勢を見せているのか。子どもに「聞く」「聴く」の違いを教えることができているか。習慣は一朝一夕とはいかないので、親が日頃から時間をかけて子どもに身につけてもらいたいものです。