企業が給付する奨学金には、返済の必要がないものが多くあります。日本では日本学生支援機構が貸し付ける奨学金が非常に有名であるため、奨学金は「借金」というイメージが強いのが悲しい現実です。

 

また医療法人による奨学金など、返済の必要がないかわりに、卒業後の就職先が限定されるものもあります。「返さなくてもいいし、卒業後も自由である」、そんな奨学金は存在するのでしょうか?

コカ・コーラは大学生に月2万円の奨学金を給付

コカ・コーラ教育・環境財団は大学生を対象とした奨学支援制度を実施しています。経済的支援を必要とし、「人物・学力共にすぐれ、かつ向学心に燃えている」「環境分野に興味のある」に当てはまる、次年度から大学生になる高校生が応募の対象です。

 

在学期間中はもちろん、卒業後も返済を求められることのない給付型の奨学金で、「将来コカ・コーラ関連の企業に就職しなければならない」といった制限は一切ありません。在学期間中に毎月2万円、4年制大学なら4年間、6年制大学(医歯薬学部)なら6年間といった具合に、最低修業年限の年数分もらえます。

 

同時に大学院生向けの奨学金も給付しており、対象者は地球環境課題に対して専門的な研究をおこなう大学院生です。給付額は月に4万円で、同様に返済義務や修了後の就職の制限はありません。

 

世界各国がSDGsを推進する現在だからこそ、環境問題に取り組みたい、熱意のある学生は、ぜひ応募して欲しいところです。

 

キーエンスは600人に総額480万円の奨学金を給付

キーエンス財団は2018年に設立され、「学業優秀かつ品行方正な学生」に対し、奨学金を給付しています。2024年4月の大学入学予定者に対しては、月額10万円を4年間給付するので、総額は480万円です。6年制の学部に通う場合は対象外なので注意しましょう。

 

ご自身で申し込み、学業成績、経済的な状況、小論文などで選考されます。卒業後に就職先を制限されることはありません。

 

また、キーエンスは大学2年生以上に対する奨学金も給付しています。給付額は一括30万円で、4年生まで卒業ができる見込みがある「勉学に励み、目標をもって頑張っている」大学生が対象です。

 

倍率は決して低くありませんが、「お金の心配なく大学の勉強に集中したい!」という強い志がある学生に挑戦して欲しい奨学金です。

ダイソーは総額240万円の奨学金を給付

DAISO財団は、経済的な支援を必要とする「向学心に富み、学業優秀であり、品行方正である」新大学1年生に対して、月に5万円の奨学金を4年間、総額240万円給付します。6年制大学(医歯薬学部)は対象外です。

 

給付に厳格な所得制限はなく、成績証明書と在学証明書を期日までに提出する他に課せられる義務はありません。もちろん、卒業後の進路が制限されることはないので安心して給付を受けることができます。

ニトリの奨学金は中学生や高校生にも給付される!

似鳥国際奨学財団は大学生に月5万円の奨学金を給付しています。さらに「優秀者」には月1〜3万円、「IT人材奨学生」には3万円それぞれ追加支給があり、最大の給付額が8万円になることが特徴です。

 

また、高校生(高等専門学校生含む)や中学生にも奨学金を給付しています。中学生奨学金はひとり親家庭であることが条件で、給付額は月に3万円。高校生への給付額は月3万5,000円です。事務局配信のテーマに沿ったレポートの提出と年1回の交流会への参加が義務付けられます。

 

また全ての奨学金の給付期間は1年間(期間中に卒業する場合はそれまで)です。

三菱UFJや電通の奨学金には特定の条件がある

三菱UFJ信託奨学財団は大学生や留学生に月額3万5,000円から10万円の奨学金を給付しています。ただし、財団が指定する大学の学生であることや指定された行事への出席が条件です。また両親の年収の合計が800万円未満という厳格な年収制限もあります。

 

電通育英会は月額7万円に加えて、受験等助成金10万円と入学一時金30万円の給付やその他海外留学やボランティアに対する支援制度が特徴です。応募には育英会が対象とする高校に在学していること、指定する大学に進学を希望することなどの条件があります。また両親の住民税に対する課税所得が350万円未満と所得制限が厳格です。育英会が実施するセミナーへの参加などの義務があります。

 

どちらも給付に対して条件や義務がありますが、卒業後の進路が制限されることはありません。安心して給付を受けることができます。

奨学金は勉強の意欲がある学生を応援するもの

返済不要、卒業後の進路も自由な奨学金は多く存在します。しかし、どの奨学金にも共通するのは「勉強する意欲があるけれど、経済的な事情でそれが叶わない学生を応援する」という理念のもとに運営されている点です。

 

「大学に行くお金をただでもらえてラッキー!」という気持ちでもらえるものではないことは理解しておきましょう。一方で、経済的に苦しく、学業を諦めなければならない学生は、知ることで救われるかもしれません。奨学金に限らず、困った時に助けてもらえる制度がないか、常にアンテナを張っておくようにしましょう。