ー吹奏楽部は「心の道場」ー
その74
2020、12、18
佐藤憲一
○「サトケン語録より」
ー西高ブラスワンラインー
この言葉「ワンライン」は
過去に女子スケート団体パシュートの選手たちによって使われた言葉だ
パシュートは3人1組で
行われるスケート競技だ
3人が縦一列になって相手チームとスピードを競う
先頭に出る時 いかに無駄のない動きをするかが大事だ しかもスピードを落とすことなくだ
パシュートの選手は 高木奈那 高木美帆 佐藤綾乃以上の3人だ
3人がいかに力を合わせて走るかが勝利の鍵を握っている
結果
2020 世界距離別 世界新で優勝を果たした
以前3人の練習の仕方や生活についてのテレビ番組を見た
驚いた
3人は大会本番までの3年間パシュートの練習だけでなく寝食を共にした生活をしていたのである
高木菜那選手が
「試合に勝つためには 練習だけではなく生活を共にすることで
お互いの意思疎通がよりスムーズになる」と言った
つまり そうすることによって 3人の気持ちがひとつになり
阿吽の呼吸で滑ることが可能になるということだ
これだ
今の西高に必要なのはこれだ
ましてや 今 アンサンブルの練習である ワンラインで練習し演奏することが欠かせない
そうして生まれた言葉が
「西高ブラスワンライン」だ
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3人の選手のように寝食を共にすることはできないが 少しでもみんなの気持ちをひとつにすることは可能であると考えた
そこで始めたのが SNSを通じての連絡・反省だ
朝6時から6時半の間に私から
今日の練習計画案を連絡する
その連絡を生徒たちは自宅を出る前に見る ほぼ7時半には完了する
この方法はコロナ禍にあり 少しでも 音を出す時間を長くしたいという思いから始められた 連絡だけでなく反省もだ
ミーティングなどで反省の時間を費やすのではなくSNSを通じて反省をする その分 音出しができるわけだ
再び練習ができるようになった5月半ば この方法を始めた
なかなか上手くいかなかった
連絡を見れずにいた生徒がいた
無理もない
朝の慌ただしい時間帯だ
しかし これではワンラインにはなれない 何とか 朝起きてから自宅を出る前までの時間帯に15人全員が見れるように工夫してみた
ミーティングでも呼びかけたが
なかなか全員が揃うことはない
たった数人なのだが諦めるわけにはいかない
練習開始及び練習後のミーティングでも呼びかけた
さらにパートリーダーにもパート員に呼びかけるようお願いした
しかし パートリーダー自身が
連絡を見る時間が遅くなったり
連絡を見ていなかったりする場合もある リーダーとしての自覚があまりない しかし このことは生活習慣と関わっていることを思い知った
パシュート選手たちが寝食を共にして練習することの意義がわかった気がした
西高生はほとんど進学希望だ
大学 専門学校 たまに就職もある 今春卒業した生徒は東京都練馬区の区役所に就職した 倍率は数10倍であったが猛勉強して難関を突破した
他には弘前大 岩手大 東海大など たった6人だが みんな猛勉強して希望する道へと進むことができた
今の生徒たちも同じで すでに受験体制に入っている 塾に通う生徒もいる
つまり 部活が終わって自宅に帰ってから進路達成のために猛勉強しているのである 深夜の12まではほとんど起きて勉強している
朝眠くて 寝坊したりするのは当然だ 私からの連絡を見る余裕などないのである
しかし 朝の時間帯に今日の練習計画を見れない状態では ワンラインは達成できない
次の対策は 数人ではあるが朝の苦手な生徒の生活習慣の改善に取り組んだ
あまり参考にはならないと思ったが私の高校時代の勉強方法を教えた 特に朝の時間帯の過ごし方だ
時代の違いはあるが 私とて受験勉強をした 受験勉強と部活の両立を図りながら
私はある時期から勉強を夜型から朝型に変えた
部活が終わって家に帰る時間が
8時はとうに過ぎている ご飯を食べると眠くなってしまう
寝込んで宿題すら忘れて朝まで過ごしたことも何度もあった
そこで 家に帰ったらすぐに眠り朝2時3時に起きて勉強する朝型に切り替えた
これが良かった 集中できた
そればかりか 授業開始時には頭がフル回転していた 受験当日まで続いた 脳が活性化した状態で受験に臨むことができた
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成果が徐々にあらわれた
現在は15人全員が7時半までは今日の練習計画を見ている さらに部活開始直前にも確認している
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ワンラインの難しさ
しかしワンラインができた時の
結束力は凄い
「ワンライン」とても大事だ‼️
ーつづく