「虎ネコより三毛猫へ教団で信用を得たようだ、かなり危ない計画を立てている模様、詳細分かり次第また連絡するっちゃ。」
「ふむ、森羅博士は上手く調査しているようだな。」
「地球人なのに素晴らしい活躍です。さすが我々が目に付けただけのことは有ります。」
「ところで高橋、最近気になっていることがあるのだが、、、」
「何でしょう、大佐」
「美月のことだが、彼女の生活ぶりを見ているととても耐えがたいのだが。」
「といいますと?」
「まず、起きるのが遅い。学校に行かない。食器を洗わない。洗濯掃除をしない。etc,etc,,,]
「はい、たしかに。」
「彼女はいったい今までどうやって生活してたのだろうか?」
「そういえば不思議ですね。」
「しかも学校には行かず漫画を描いている。」
「そうですよね。」
「まさか、我々が知らないだけでそれが普通なのか?」
「いえ、そんなはずはありません。」
「そうか、では何か理由があるはずだな。」
「はい、そう思います。」
「では、その理由を探ってみよう。」
「はい、大佐!」
ーーー
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだよ美月」
「どうしてお兄ちゃんはあんなに熱心に研究をしているの?」
「お前には分からないだろうけど、宇宙人の侵略を阻止するのは人類にとって大切なことなんだぞ!」
「でも、お兄ちゃんがそこまでする必要はないんじゃないの?」
「美月、お前は知らないのか?今世界が大変なことになっていることを」
「うん、知らない。」
「美月、テレビをつけろ。」
「わかった。」
ピッ
『続いてのニュースは、先日秋葉原で起きた通り魔事件についてです。』
「これって、この間お兄ちゃんが襲われた事件じゃない?」
「そうだ、実はこの事件の裏に恐ろしい陰謀が隠されているらしい。」
「えっ?」
「この犯人はニャルラトホテプ星人という宇宙人で、その目的は地球の乗っ取りそして僕の抹殺だ。」
「えっ、どうして?」
「僕が研究している事が世間にばれてはまずいからだ。」
「それは、無差別通り魔事件にして、狙いはお兄ちゃんだって分からないようにするため?」
「ああ、そうだ。」
「じゃあお兄ちゃんはいつまで経っても家に帰れないじゃん。可哀想だよ。」
「心配してくれるのか、ありがとうな。」ナデナデ
(お兄ちゃんの手大きいなぁ)
「そうだ、お兄ちゃんはこんなに頑張っているのに、私は何もできないなんて。」
「美月、気にしなくていいんだ。これは俺の仕事だからな。お前は安心して待っていてくれればいい。」
「うん、分かった。」
「それでは行ってきます!」
ガチャッバタンッ!
(私にも何かできることは無いかな?)
(そうだ、私も何か役に立てるようにならないと!!)
ーーー
トントントン、ドアをノックする音
「美月さん、起きているかい?」
「ん~?はーい起きていますよ」
「ちょっと大事な話があるんだが。」
「君は最近学校に行っているのかね?」
「学校は行かなくていいことになっています。」
「そうなのかね。しかしそれでは勉強が遅れてしまうのではないかね。」
「そうですね、でも私にとってはお兄さんの方が大事ですから。」
「そうか、それでは掃除や洗濯はどうだね、いつも溜まっているし散らかっている。」
「まとめてやっているから、その方が効率的でしょ。」
「むむ、しかし常に清潔にしていることが健康衛生上良いに決まっているぞ。」
「え~、海斗って細かい人なのね、宇宙人てみんなそうなの?」
「いや、我々はそのようなことはない。ただ、君があまりにも無頓着すぎるだけだ。」
「あと名前を呼び捨てにするのはやめなさい。私は君よりも年上だ。」
「ふーん、上下関係厳しいんだ、海斗は何歳なの?」
「私は425歳だ。」
「えっ、本当?宇宙人って冗談も言うのね。はははっ」
「冗談ではない、プレアデス人は嘘は言わない。」
「分かったわ、サ ト ウ カ イ ト 大佐殿。」
「でも、長くて面倒だから、やっぱり海斗って呼ぶね。」
「じゃあ、私これから用事があるから出かけてくるね。」
ガチャッ
「高橋、地球人の教育はかなり遅れているようだ。」
「はい、しかし大佐、わたくしの調査ですと彼女はかなり例外的な部類かと思われます。」
「ふむ、例外的な部類か、進化なのか退化なのか興味深いな。」
「大佐、そういえば先日取り寄せた森羅美月の漫画が届きましたのでお読みになりますか。」
「うむ、持ってきてくれ。」
「はい、こちらです。」
「ほう、これが噂に聞く森羅美月の描いた漫画なのか。どれ拝見させてもらおう。」
パラパラッ
「うむ、地球では紙を使うのだな、プレアデスはホログラフィーだが無駄が多いな。」
「なるほど、仮想世界で猫型人間の戦いを描いている訳か、イラストは親近感があるが内容にはリアリティーがあるな。」
「要約するとこういう物語だな。」
「物語は、邪悪な女神ニャルラトホテプを止めるために旅に出た若き冒険家ミケから始まります。仲間とともに各地を巡り、強力なアーティファクトや仲間を集め、女神に立ち向かう。その道中、彼らは多くの困難に遭遇し、多くの敵に直面する。
そして、ついにニャルラトホテプの神殿にたどり着き、女神に立ち向かう。激しい戦いの末、ミケと仲間たちは女神を倒し、この地に平和を取り戻した。
戦いの後、ミケは疲れ果てて倒れてしまう。仲間たちは必死で彼女を助けようとするが、もう手遅れだった。
ミケは最後の瞬間、仲間たちに「平和をもたらすという約束は果たした、自分の人生は価値があった」と告げる。その言葉を最後に、ミケはこの世を去る。
仲間たちは悲しみに暮れるが、ミケの犠牲がこの地に平和をもたらしたことを認める。そして、ミケを偲び、正義のために闘い続けることを誓う。
そして彼らはニャルラトホテプ星の地にミケの銅像を建て彼女を永遠に称えることとした。
ミケの死は悲しい結末だが、勇気と決意の力を思い起こさせるものでもある。彼女は命をかけてこの地に平和をもたらしました。彼女の遺産は、彼女が残した人々の心の中に生き続けることでしょう、、、」
「この物語で美月が教団に命を狙われるとは、カルトの考え方は危険極まりないな。」
「ふむ、中々創造力がある作品だ。森羅万象博士のアイデアなのかもしれんな。」
「大佐殿、そろそろ街で調査をするお時間になります。」
「うむ、分かったそれでは出かけよう。」
二人は街へ出かけた
「さあ、今日はどんな調査をしましょうか?」
「そうだな、やはりまずは街の人々に聞き込み調査だろう。地球人のマインドがどれくらい進歩しているのか確かめたい。」
「分かりました、では早速はじめます。」
「おい、そこの二人!」
見るからに強面の男に呼び止められる。
「はい、なんでしょうか?」
「お前たち、変な恰好をしているな、ここら辺は俺たちの縄張りだ挨拶なしにウロチョロするな!」
すぐに3人の男たちに囲まれる
「申し訳ありません、我々の服は地球の環境に適応できるように作られているのでこの格好が自然なのです。」
「なんだお前は?ふざけてるのか?」
「いえいえそんなことはありませんよ。ほらこの通り。」
「お前ら何者だ?この辺りを荒らしに来たのか?」
「いえいえ、私たちは怪しいものではありません。」
「怪しくないだと、そんなわけあるか!お前らはどこから来たんだ?」
「はい、ここから440光年先のプレアデスから来ました。」
「はぁ?そんな遠くのところからどうしてこの街にやって来たんだ?俺たちをからかってんのか?」
「実は私たち、この国の文化について研究しておりまして、その研究の一環として日本のサブカルチャーを研究しております。」
「バカにしやがって!この二人にはお説教が必要なようだな、ちょっと俺らの事務所で話を聞こうか。」
腕を引っ張られるが振り払う。
ドカッ!バキッ!グシャッ!ボコッ!バタッ!! 二人の男は一瞬で地面に倒れる。
その光景を見た周囲の人たちは唖然としている。
「さすが大佐、お見事です。」
そして、一人の男が近づいてくる。
「おい!待て!!」
振り返るとそこには・・・ ヤクザのボスが立っていた。
目の前にいるのは組長だ。
「お前ら手を出すんじゃねえ!この方を誰だと思っているんだ!」
「く、、組長。」
「申し訳ありません、高橋さん、うちの若いもんが失礼しました。」
そういうと組長は頭を下げた。
「いえいえ、若くて元気があって良いですね、これからもこの地域をよろしくお願いします。」
「分かりました、こいつらにはよく言っておきますので。」
立ち去る二人を組長は見送った。
「高橋、あの者たちはどう見でもギャングだな、組長は君の管轄下で動いているのか。」
「はい、彼らは広域暴力団に指定されていますが、実態は我々の管理下の元で活動しています。」
「人類が道を外れないように監視しているのです。」
「私たちは日本の全国の暴力団組織を掌握していますのでご安心ください。」
「うむ、流石だな。」
「現在の問題は悪事を模倣する一般人が出現していることです。彼らは直ぐに組織化して巨大化してしまいます。」
「その原因はどう分析する?」
「はい、私の考えでは収入格差と教育ではと、特にここ134年の間に予定のタイムラインから大きく外れてきました。
「うむ、我々の計画では現在の地球では科学力がプレアデス並みに発展し、争いのない平和な世界になっているはずだがな。」
「はい、私たちの管理の行き届かない場所で何か不具合が起きているのかもしれません。」
「そうだな、今一度見落としが無いか精査する必要がありそうだな。」
「大佐、そろそろ食事にしませんか?人気のとんかつ店がこの近くにあります。」
「分かった、では行こう。」
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「ミケ、分かったぞ彼らの正体が!」
「トラ兄さん、本当に?」
「そうだ、間違いない。彼らはシェイプシフトしていて僕らと同じ姿になっている。だから今まで見つからなかったんだ。」
「ということは、、、もしかして私たちの仲間にも彼らが潜り込んでいるかもしれないということ?」
「ミケ、そうだ可能性は高い。そして僕は彼らを見破る道具を開発した。」
「この加速度センサーを内蔵した指輪だ。彼らは僕らとは波動が違うんだ、この指輪の水晶を通してみると彼らの正体が映し出せる。」
「すごい、これで敵の姿をとらえることができる。」
「うん、先ずは僕たちだけで探そう。」
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「大佐、これが有名なとんかつゆたかのロースかつ定食です。」
「うむ、早速頂こう。」
「おおっ、外はサクサク、肉はジューシーで味わい深い。何だこの食感と味は。サクサクとした食感と柔らかさのバランスが絶妙だな、肉が驚くほどしっとりジューシーで、パン粉が軽く、油っぽくない。ソースも絶品だ」
「これは、、、素晴らしい。まさに至高の一品だ。」
「大佐、お気に召したようでよかったです。」
「高橋、これを作った料理人はどこのどいつだ?」
「はい、それは、、厨房にいるあのかたです。」
「素晴らしい料理だ、ぜひうちのコックに雇いたいな、高橋、ちょっと打診してくれないか?」
「いえ、、多分それは無理かと、、、。」
「そうか、残念だな。」
調査15日目、プレアデス評議会宛て 「人類進歩の計画の遅れに関して別の原因の可能性が浮上してきた為。世界の調査員との合同会議を行いたい。よって会議の日時設定を希望する。」










