【社労士試験】「休業手当」として「平均賃金の100%」を支払う会社の意図 | 社会保険労務士/行政書士を目指される方と共にがんばろう応援ブログ

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将来社会保険労務士もしくは行政書士を目指そうと考えていられる方、または既に目指して学習を進められている方が少しでも有益に感じていただけるような情報を発信していくことで私自身の成長にも繋げていきたいと考えています。

こんにちは。

 

心配していたことが徐々に現実なものとなりつつあります。

やはりと言いましょうか、新型コロナウイルスの影響で巷の雇用情勢が急速に悪化してきています。

 

ごく最近ある友人から、こんな情報をいただきました。

「会社から突如休業が命じられ、その分『休業手当』が支給されることになりそうだ」

とのこと。

 

更に驚くべきことに

「今回の措置として『賃金の100%』が『休業手当』として支給される」

とのこと。

なんと実質「賃金の100%相当」が補償されるらしい。

 

「会社として支払う額は同じであるが、わざわざ休業までさせてあえて『休業手当』という名目で支払う意図はどこにあるのか」

というのがその友人の疑問である。

至極まっとうな疑問です。

 

ご存知の通り労基法第26法では「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と規定されています。

 

今回の新型コロナウイルスの影響による休業は「不可抗力」的な要素も強くそもそも「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するのか否かなり微妙な面もありますが、ここは一旦「法26条」の適用を前提に話を進めることにします。

 

当該条文から「『休業手当』は平均賃金の60%以上を支払う」となっていますので、「休業手当」として賃金の「100%支払うこと自体は」法的には何ら問題ないと考えられます。

 

その友人の話を聞いて、今回の友人の会社の措置について最初に頭に浮かんだ意図としては、

「労働保険や社会保険料の会社負担の軽減効果狙い」

ではないか、とのことでした。

 

ただ「休業手当」は労基法第11条の賃金」に該当することから事業主が負担する労働保険料や社会保険料の負担を軽減する効果はなく、それは全く的外れな選択肢であることを直ちに自覚しました。

 

何となく解せない気持ちを抱きつつ厚労省のHPを丁寧に調べて行ったところ「雇用調整助成金」にこのような追加措置がなされていることがわかりました。

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた「 雇用調整助成金の特例を追加実施」として「休業を実施した場合の事業主の負担に対し、大企業で2分の1、中小企業で3分の2が助成される」とされています。

※3月29日追記

3月28日に今後更に「大企業で3分の2、中小企業で5分の4」に助成率を引き上げる旨の厚労省の発表あり

 

1人1日「8,330円」が上限、支給限度日数も「1年間で100日間」とされていますが、「休業手当の平均賃金比率の上限」は特に設定されていません。つまり「平均賃金の100%」でも対象になることを意味します。

 

「賃金の100%」が支払われることで従業員に実質的な不利益は生じず、また会社側も一定の「雇用調整助成金」を受領できることから、確かに「従業員と会社間」で「win-winの関係」が成り立つとも言えます。

 

今回このような措置をとった友人の会社の意図がどこにあったのかは部外者の私には当然のことながらわかりません。

ただ私の勝手な推察にはなりますが、

厳しい現下の経営状況においても極力企業の「人材の流失」を回避する為、今後の来るべき「V字回復」に備えて「『人材』と言う重要な経営リソース」を確保しておくことが今回の最大の意図ではないか、と考えています。

 

「長期的にわが国の人材不足のトレンドは変わらない」と読んでいるのでしょう。

 

また当たり前のことですが、「休業手当」支給対象期間(日・時間)は必ず休業させなければなりません。

万一にでも「休業手当」支給期間中に従業員が労働していることになれば、「雇用調整助成金」の「不正受給」とみなされる可能性がありますので、実際の運用にあたってはかなり注意が必要と言えます。

 

いずれにしても「限りある財源」であり、この「雇用調整助成金の追加実施措置」がこの新型コロナウイルスの影響で「真に困窮している事業主と従業員への救済策」、そして「わが国の経済再生」としての機能を十分発揮してくれることに期待したいところです。

 

 

今回もアクセスいただきありがとうございました。