こんにちは。
久しぶりの「ちょっとだけ深堀」になります。
突然ですが、今回はまず以下の有名な2つの最高裁判例をご覧いただきたいと思います。
下記2つの判決文のフレーズの中で空欄となっている「A」と「B」にはそれぞれ「支配」もしくは「指揮命令」のうちいずれかの語句が入ります。
AとBそれぞれにどちらの語句が入るか、まずはお考え下さい。
【行橋労基署長事件(最判平成28年7月8日)】
甲は、本件会社により、その事業活動に密接に関連するものである本件歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ・・・(中略)・・・本件歓送迎会が事業場外で開催され、アルコール飲料も供されたものであり、本件研修生らを本件アパートまで送ることが上司らの明示的な指示を受けてされたものとはうかがわれないこと等を考慮しても、甲は、本件事故の際、なお本件会社の【 A 】下にあったというべきである。
【三菱重工業長崎造船所事件(最判平成12年3月9日)】
労働基準法第32条の労働時間とは、従業員が会社の【 B 】下に置かれている時間をいう。
労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、従業員の行為が会社の【 B 】下に置かれたものと評価できるか否かによって客観的に決定されるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めによって決定されるものではない。
それでは正解は
A「支配」
B「指揮命令」
となります。
上記の2つの判例は、各受験予備校等発行の問題集でも頻繁に見かけます。
中でも選択式で取り上げる場合、作問者は意地悪なことにほぼ「支配下」と「指揮命令下」をセットで選択肢の中に巧妙に?忍び込ませ、どちらを選ぶべきか迷わせます。
実はつい最近まで私自身も混乱していました(汗)
「支配下」と「指揮命令下」の違いをきちんと取り上げそれを解説している問題集は少ないのではないかと思います(少なくとも私は目にしたことはありません)
前置きが随分長くなりましたが、
ここの本題は「支配下」と「指揮命令下」の違いを私なりに理解していることをご紹介することです。
とりあえずは「指揮命令下」=「労働時間」と考えてよさようです。
一方、「支配下」はその全てが労働時間になるとは限りません。
よって「支配下」は「指揮命令下」より広い概念と言えます。
「支配下」
は「業務災害」に該当するのか否かの判断時に登場
「指揮命令下」
は「労働時間」に該当するのか否かの判断時に登場
と理解をしておけば、試験対策としてはほぼ足りるのではないでしょうか。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
今回もアクセスいただきましてありがとうございました。