先日、ドバイ大学にてドバイ/日本のカンファレンスがあると聞き、聴講してきました。
ドバイが現在進めている、スマートシティ構想に関するものです。
登録さえすれば無料で聴講できるということで、どんなものかと見学してきたのでした。
政府運営の施設代表や官僚、携帯通信会社副社長が
それぞれの立場から、現在稼働している、たとえば「Dubai Now」というスマートアプリなどの施策を紹介し
今後についての考え方を話す、といったものでした。
素敵だなあ、と思ったのは、登壇者が必ず
「アッサラーム・アレイクム(あなたの上に平安あれ)」と挨拶すると
聴講者が声を揃えて
「ワーアレイクム・アッサラーム(あなたにも平安あれ)」と返すこと
ハムダなおこさんが新著の『ようこそアラブへ』でアラブ人の礼節について書いておられるのですが
まさにその真摯な態度が感じられます。
あとみんなプレゼンの中で王様の言葉を引用する。尊敬され度めちゃ高いです。
「リスクをとらないことが最大のリスクである」とか
とかく仰せになることがかっこいいからなあ
さて、カンファレンスで登壇者の誰もが強調していたのが、
ドバイは地球上最もスマートでHappiestな都市を目指します、ということ。
なにしろUAE政府には2016年3月、幸福省ができて
女性のオフード・アル・ルウミ氏が初の大臣に就任しています。
UAEは2021年に建国50周年を迎えるので、そこに向けたナショナルアジェンダ2021というのがあるんですね。
UAEの石油採掘はアブダビが中心ですが、枯渇するのは目に見えている。
それでドバイは早くからフリーゾーンを設けて海外企業を誘致したり
世界一のタワーとか世界一のモールとかあれこれ作って
これからさらに100m高いThe Towerの建設も始まって
ドバイモールなんかでしきりにプロモーションが行なわれています。
これで湾岸諸国を始めとする外国人富裕層の誘致を狙ってきたわけですね。
一方、建国後、国から家を与えられ、医療も大学までの教育も無償
急にリッチになってしまったUAE国民に対しては、
若い世代を教育し、勤労意欲を高める政策が必要…
おじさんたち、みんな平日朝からカフェでまったりしてますからね…
というわけでアジェンダ2021では私企業で働くUAE国民を10倍にするというのが目標として挙げられたりしています。
あと超消費社会のイメージのドバイですが、サステナビリティも今回目標とされているよう。
ちなみにUAEは2021年に火星探査もする予定です
カンファレンスの登壇者は「最後の石油樽を輸出するときに、それをお祝いできるよう
教育に投資しなければならない」と話していました。
そんなこんなで、要はオイルがなくなったあとも、人々がついて来られるよう
UAEにとってハッピーは大切なのでした。
2016年のUAEの幸福度は世界で28位、まだまだ努力の余地ありってとこでしょうか。
日本は53位です
前置きが超長くなりましたが、今日書きたかったのは、この日の会場だったエリアのこと。
会場のドバイ大学は
大学が建ち並ぶエリア、その名もアカデミック・シティにあります。
この場所は、シリコン・オアシスという2004年にできたフリーゾーンに隣接しています。
マイクロソフトなどがあるインターネット・シティに次いで、イノベーション拠点としてできたビジネス特区で
日本企業も含むテクノロジー産業が集まっています。
シリコンオアシス方面へはメトロが通っていなくて、
ブルジュマンのバス停かラジディヤの駅から出るバスで、最寄のバス停まで行きます。
で、そこからアカデミックシティまで8.4km…
Googleさんによるとタクシーなら8分で行けますが
徒歩だとまる一日かかる、という表示
こんなとこどうやって通うねん!
車があるのが前提なの…?と思っていたら
大学の先生と会場でお話できたので聞いてみると
「いや、ドバイ大学は昔は街中、ダウンタウンにあったんですけれどね
こっちに移転してきたら、交通がなくて学生が集まらないんですよ、ははー笑」
…あかんやん
ただこの場所の魅力は、企業が集まるシリコンオアシスと並んでいるので
産学連携がしやすいということだそうです。
シリコン・オアシスは、行ってみたらけっこう街でした。
ここで働く人のレジデンスもあるようで、ベビーカーを押す欧米人ママを見かけたりもしました。
ベーカリーでは多種類のパンが焼かれていて比較的おいしそうだし
野菜コーナーも悪くない品揃え。
大根よりでっかいUAE国産ナス、買ってみるかどうか迷いました
結局子ども用にソーセージを巻いたパンだけ買って帰りました。
ぱっと見きれいで暮らしやすそうな街ではありました。
のんびり暮らして働いて、研究機関も近くにあったら、いい仕事できそうな気はする…。
でもカンファレンスの中で、
「現在建設しているMuseum of the Futureは
新しいイノベーション拠点となる」という話がありました。
Museum of the Futureは、ドバイモールの隣駅、ファイナンシャル・センターのあたりで作られています。
そっちできたら、交通の便の悪いこの場所、廃れないかい…?
専業主婦生活の中で、久々の刺激になりました