佐藤好恵行政書士事務所 

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大阪府枚方市の女性行政書士 佐藤好恵のブログです。
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以前、相続手続きのご相談をお受けした際、下記のような質問をお受けしたことがあります。

 

相談者Aさん

父Bは3年前に死亡、母Cは健在、兄Dがいる。

父の死亡時、父方の祖父Eは健在、祖母は既に死亡。

 

父死亡の際は、父に借金があり、相続財産はマイナスの状態だったため、母C・兄D・Aさんは相続放棄し、結果、相続人となった父方の祖父Eが「親として責任を取って弁済する」と相続放棄せず、Bの負債を相続し支払ってくれた。

 

この度、祖父Eが死亡した。祖父Eには負債はなく、自宅不動産と1,000万円程の預貯金を残している。

Aさんと兄Dが代襲相続人になるはずだが、被代襲者である父の相続の際に相続放棄をしてしまっていることから、祖父Eの財産を代襲相続することはやっぱりできないでしょうか?

 

というご質問。

 

結論として、Aさんと兄Dさんは、祖父Eを代襲相続できます。

「えっ?父Bの負債の相続は免れたのに、それはいいの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

民法では第939条で下記のように規定されています。

(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

このように、相続放棄は『その相続に関しては』なので、あくまで「被相続人」ごとに判断するものです。

父Bの相続の際に相続放棄をしていても、祖父Eの相続はまた別物(被相続人=祖父E)になるため、祖父Eの相続について、一から相続放棄をするかどうか検討することができます。

 

よく勘違いされるのは、この事例のAさんに子供Fがいた場合、Aさんが父Bの相続を放棄した場合、父Bの孫にあたるAさんの子Fが代襲相続人として父Bを相続するのか?という問題とごちゃごちゃになっておられるからかと思います。

 

この場合、民法第939条記載のとおり、Aさんは父Bの相続については『初めから相続人とならなかったものとみなす』ので、Aさんにはそもそも相続する権利自体が発生しないため、Aさんの子Fに代襲相続は発生しません。

 

話戻りまして、今回の場合、Aさんは祖父Eさんの財産を相続することができますし、もし、仮に祖父Eさんも多額の負債を抱えておられ財産がマイナスだった場合は、「父Bの相続放棄をしているから、何も手続きしなくても大丈夫!」なのではなく、新たに祖父Eの相続放棄の手続きをしなければなりません。

 

 

くずは相続・遺言・成年後見相談センター

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