主人が帰ってきた翌日のそうちゃんは、CRPも下がり、痰も減り、確実に回復に向かっていました。

サチュレーションが突然下がってしまうトラブルは相変わらずの頻度で続いていましたが、毎日記録をつけ続けた結果、やはり右向きにして寝ている時に発作が起こることがほとんどであることが分かった為、右向きの時間を極力少なくして様子を見ることになっていました。

私自身もこの発作には毎回ヒヤヒヤしていたものの、とにかく時間が勝負だったので、発作が起きた時にはすぐに先生を呼んでもらい、他の看護師さんには手動呼吸補助のバギングをしていただき、同時に私はそうちゃんの力の入った胸郭を広げて呼吸を助けるためのマッサージをするという、一番早い回復方法を見つけることができていました。

あまり慣れたいことではありませんでしたが、あまりに頻度が多かったため、看護師さんや先生方から褒めていただけるほどに迅速な応急処置ができるようになっていました。

それでもやはり、毎回苦しそうなそうちゃんを見ることはとても辛いことでもあったので、なんとかこの発作をなくせないかと解決方法が見つかることを心から願っていました。


この頃にはGCUに移動して約1週間が経っていて、顔見知りの看護師さんも増え、場所や物の使い方など色々なことにもだいぶ慣れてきていました。

NICUとは室内の明るさや賑わいなど雰囲気は大きく違いましたが、その雰囲気にも数日もするとすっかり慣れていて、唯一慣れるのに少し時間がかかったのは授乳室での搾乳くらいでした。

NICUにいた頃には、そうちゃんのベッドサイドにパーテーションを立てて搾乳をさせてもらっていましたが、GCUには授乳室があり、カーテンで仕切られた3つの場所のどこかで搾乳をするようになっていました。

自分ではちゃんと割り切っているつもりでいましたが、そうちゃんの調子が悪い時には、他のご両親の幸せそうな授乳の声を聞きながらひとりで搾乳をしていて心細く感じてしまうこともあったり、初めての授乳に感動して泣いているご両親の声を聞いたときには、いつかそうちゃんにも授乳できる時がくるのかなと想像してはカーテンの隣で一緒に泣いてしまったこともありました。

他の子は他の子、そうちゃんはそうちゃん。
成長はゆっくりでいいから、出来ないことがあってもいいから、とにかく生きていてほしい。
それだけが私の願いでしたが、少し心の弱っていた時には、GCUという環境で元気な赤ちゃんの泣き声に囲まれていると、ふと見えない先を考えてしまい、不安な気持ちに負けてしまいそうになることもありました。

でも、そんな時にいつも私を笑顔にしてくれるのはやはりそうちゃんでした。

その日の夕方には主人との久々の再会に大興奮し、お昼にサチュレーションを下げて大変だったことも忘れてしまうくらいに活発に手足を動かし、見兼ねた看護師さんに「久しぶりにパパに抱っこしてほしいのかな?」と言わせ、主人に抱っこされた時のご満悦そうな表情には、もう笑うしかありませんでした。

本当に面白い子だな。

こんな瞬間が私たちにとって一番幸せなときでした。


そしてこのタイミングで、看護師さんからとても嬉しいご提案をしていただきました。

それは、いつも看護師さんがやっていたそうちゃんの口腔内の痰の吸引を練習してみないかというものでした。

人工呼吸器管理下にあるそうちゃんは、抜管のリスクが伴うために吸引は看護師にしかできないと聞いていましたが、少しずつやれることの増えてきた私に、そろそろ新しいことをさせてあげたいと、先生も含めて皆で決めたと看護師さんから教えていただきました。

いつもリスクがあると分かりながらも、しっかりとサポートをして、新しくやれることを増やしてくださる先生や看護師さんたちの勇気ある提案には、本当に感謝の思いでいっぱいでした。


また、あまりにサチュレーションを下げることが増えていたそうちゃんのことも先生方が話し合ってくださり、近日中に呼吸器内科の先生に立ち会っていただき、右向きで寝かせた状態でファイバースコープで気管の様子を見ていただくことが決まりました。

少しずつではありましたが、そうちゃんや私たちのために多くの方が前に進もうと一生懸命に考えてくださっていることを日々実感し、とても有難く感じていました。