GCU初日は、新しい環境に終始興奮気味だったそうちゃんを見て、私たちは楽しんでくれているのかなと安心し、その日の夜は主人ととても嬉しい気持ちで帰宅することができました。


ところが翌日、GCUに到着すると、昨日とは変わってそうちゃんは大量の汗を流して肩を揺らしながらとても苦しそうに呼吸をしていて、しばらく吸引できていなかったのか挿管チューブには気管からの痰が大量に吹き上がってきてしまっていて、いつもは100で安定しているサチュレーションも70~95をフラフラと上がったり下がったりを繰り返していました。

とにかく苦しそうだったので、すぐにでも吸引してもらわなければと周りを見渡しましたが、NICUより少ない人数の看護師さんたちは、沢山の赤ちゃんの沐浴をしたり授乳をしたりお母さんの指導をしたりしていて、どの看護師さんもとても忙しそうでなかなか気づいてもらえるような感じではありませんでした。

GCUに移る時に、看護師さんの人数がNICUよりも少ないことは聞いていましたが、そうちゃんの大量の汗を見て、どれほどの時間をこの苦しい状態でひとりで頑張っていたのかと思うと、私はとても切ない気持ちになってしまいました。

慣れない場所だったこともあり、誰にどう声をかけたらいいのか迷っていると、遠くにいた保育士さんが「何かありましたか?」と声をかけに来てくださり、そうちゃんの様子を見るとすぐに、他の赤ちゃんのお世話をしていた看護師さんを呼びに行ってくださいました。

駆けつけてくれたのはNICUでもお世話になったことのある顔馴染みだった看護師さんでした。

そうちゃんの様子を見て、「気づかなくてごめんね」と何度も謝りながら吸引をしてくださいました。

決して看護師さんたちがラクをしていた訳ではなく、これだけ沢山の赤ちゃんのお世話は一生懸命やっていても追いつかない状況なのだろうということは見て分かりました。

そしてそうちゃんはと言うと、いつもは吸引をしてもらうと少し落ち着くはずの呼吸もサチュレーションもこの日はなかなか安定せず、酸素を入れてもらったまま、少し不安な状態がしばらく続いていました。

そしてこの日はいつもより痰も多かったので、忙しそうに走り回る看護師さんたちに申し訳なく思いながらも、吹き上がってくる痰を何度も吸引をしてもらい、少しでもそうちゃんがラクになってくれることを願いました。

ところが、このGCU2日目にして、そうちゃんと2人で過ごしていた時に、突然、あの恐れていたサチュレーションが急に下がる発作のようなものが起こってしまいました。

私は異変に気づくとすぐに看護師さんを呼び、その看護師さんに電話で呼び出された先生方もすぐに駆けつけてくださいました。

側にいたので異変には早く気づけましたが、処置が行われた時にはサチュレーションはすでに56まで下がっていて、それまでそうちゃんは真っ青になりながら一生懸命に自力で頑張ってくれていました。

幸い、処置によりすぐにサチュレーションは回復しましたが、よほど頑張り疲れたのか、そうちゃんはそのまま深い眠りについてしまいました。

一瞬にして複数の医師や看護師が集まり、急いで処置をするその物々しい雰囲気は、和気あいあいと賑やかなGCUにはあまりない光景だったのか、ふと落ち着くと周りにいた親御さんたちがとても心配そうにそうちゃんに視線を向けているのが分かりました。

そんな様子を見ていると、本当にGCUに移動して良かったのかな…そんなことを考えてしまっていました。

周りにも心配をかけてしまい、ただでさえ忙しそうな看護師さんたちをさらに忙しくし、そして何より、私がいない時にあの発作が起こってしまったら、気づくのが遅れていたらどうなっていたのだろうと思うと、先が不安で仕方がありませんでした。

まだ2日目なのだから、気長に見ていくしかないと頭では理解していましたが、慣れない環境のせいか、気持ちはなかなか追いつくことができずにいました。


すると夕方、日勤の勤務を終えたNICUの看護師さんたちが総出でそうちゃんのところに遊びに来てくださいました。

見慣れた看護師さんたちの笑顔を見ただけで、私はなんだかとてもホッとしていました。

そうちゃんの様子を聞かれ、今日の出来事を話し、心配そうにしながらもそうちゃんにいつも通り明るく優しく声をかけてくださる看護師さんたちを見ていたら、不安も少しずつ和らいでいくのが分かりました。

GCUに移動が決まってから、そうちゃんに「また会いにいくね」と約束してくださったNICUの看護師さんたちは、本当に毎日のように色々な人が勤務後に立ち寄ってくださり、時にはGCUでも臨機応変に吸引をしてくださったり、GCUの看護師さんたちにそうちゃんのことを色々アドバイスしてくださっていたり、そんな気遣いが私には大きな安心感を与えてくれていました。


NICUの看護師さんたちが帰って行った後、すっかり心が軽くなっていた私は、周りの支えと自分の単純さに救われながら、いつもと変わらずそうちゃんと笑顔でのんびりと過ごすことができました。

きっと、ひとりで抱えてしまって不安で心細くなってしまっていたのかなと思いました。

GCUだけではなく、NICUにも助けてくれる人があんなに沢山いるんだから大丈夫。

そう思えたのは、NICUの看護師さんたちの、忙しい中でも頻繁に足を運んでくださる優しさのおかげだったと思います。

新しい環境でのスタートは、少し心細さを感じながらも、多くの人に支えられていることを改めて感じることのできた大切な機会となりました。


写真はアンパンマンを抱えたまま、ぐっすりと眠りについたそうちゃんです。
色々不安はありましたが、気持ち良さそうな寝顔を見ているととても安心することができました*

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