いよいよ、そうちゃんが初めて保育士さんに遊んでもらう日。

この日は、数日前に私がお話しさせてもらったことを参考に、実際にそうちゃんが絵本やおもちゃでどんな反応をするのかを見たいということで、いつも私が使っている絵本やおもちゃを使って保育士さんに遊んでもらうことになりました。

どんな反応をするのかな。

いつも私と遊ぶときと同じような反応をするのかな?
人が違うと反応も違うのかな?

色々想像しながら、私はワクワクしていました。

保育士さんが持っていたのは、いつも私が使っている絵本やおもちゃでしたが、使う人によってこんなにも使い方や印象が変わるのかと感じるくらいに使い方が上手で、さすがだなぁと私は最初から感心しっぱなしでした。

そして、最初はキョトンとしていたそうちゃんも、慣れてくるといつものように色々な表情を見せてくれるようになっていました。

いつも気に入ったものがあると興味深そうに大きく目を開いておちょぼ口になり、嫌いなものが出てくると一瞬にして泣き顔になるそうちゃんのそのあまりに分かりやすい反応に、保育士さんもとても楽しんでくれているようでした。

そうちゃんは、呼吸も不安定で、拘縮で身体の自由もきかなくて、簡単ではないことも沢山あるけど、でもこんな風に色んな表情や反応もしてくれて、やれることもこんなに沢山あるのだということを、私は誰かに知ってほしかったのかもしれません。

「そうちゃん面白すぎる~!」と手を叩いて喜んでくれる保育士さんの反応が、私は嬉しくて仕方がありませんでした。

そして、そんな保育士さんの喜び様は、静かなNICUではかなり目立ち、気づくと沢山の看護師さんや先生方が何をしてるのかと様子を見に来ては微笑ましそうに見守っていてくれました。

そしてあっという間に時間は経ち、遊びの最後は、初めてのお歌遊び。

そうちゃんが第一子だった私にとっては、子ども向けの歌を聞くこと自体が自分の幼少期以来だったので、最近の歌を全然知らない私のために、保育士さんは分かりやすい「ぞうさん」などを選んでくれました。

いつも静かなNICUでは、好きなだけ遊んでねと言ってもらえていても、どうしても周りを気にして少し控えめになってしまい、音の出るおもちゃはかなり目立つので、ほとんど使えないまま周りに迷惑にならない程度の声で静かに遊んでいました。

でも、保育士さんはそんなことを気にする様子もなく、NICUに響く大きな声で歌を歌ってくれて、そうちゃんはその初めて聞く歌と声のボリュームを楽しんでいるかのように、手足を動かしてこの日一番の反応をしてくれました。

「すごいすごい!そうちゃん大興奮だよ!」

私と同じようにその反応を喜んでくれる保育士さんや看護師さんたちに囲まれて、そうちゃんはなんだかとても楽しそうに見えました。

30分程度の時間ではありましたが、保育士さんのおかげで、今までできなかったことをしてあげることができて、こんなにも興奮してるそうちゃんを見ることができて、私は感謝の気持ちでいっぱいでした。

その日以来、保育士さんは私がいない時にも頻繁にそうちゃんと遊んでくれるようになり、やがてそうちゃんは声を聞くだけで興奮するほど、保育士さんのことが大好きになっていきました。



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