思っていた以上のそうちゃんの回復に、私はこの喜びを早く主人にも伝えてあげたくて、早速電話をしに行きました。

仕事中だったので出るかな…と思いながらかけてみると、主人は待ち構えていたかのようなスピードですぐに出てくれました。

「どうだった?」と不安そうに聞く主人にそうちゃんの回復を伝えると、「よかったー」と安堵と喜びに満ちたため息混じりの声が聞こえてきました。

きっと仕事も手につかないくらいに心配だったんだろうな。
こんなに嬉しい報告ができて本当によかったと私もホッとしていました。


私たちはすぐに互いの両親にも連絡をし、この日は家族全員が言葉にしきれない喜びをかみしめ、そうちゃんの奇跡に胸がいっぱいになっていました。


敗血症と診断されてからずっと続いていた鼻からの出血もやっと止まり、また、胃に繋がる管から出ていた緑色だった胆汁の色もだいぶ薄くなってきていて、センター長にエコーで腸の動きを見てもらうと、昨日まで全く動いていなかった腸がほんの少しでしたが動き始めているのが見えました。

ずっと点滴で栄養を摂っていたそうちゃんでしたが、このまま順調に腸が動けば少しずつ母乳を再開できると聞き、多臓器不全とまで言われていたそうちゃんがここまで回復できたことに改めて感動していました。

そして、私を見ながらずっとチュッチュッと吸啜のような口の動きをしているそうちゃんを見て、もしかしてお腹空いたのかな…と思うと、それだけで嬉しくて涙が出そうになりました。

またこんな表情が見られるようになる日が来るなんて。
そうちゃんは私たちから見ても分かるほどに、たった1日で信じられないほどの回復をしてくれていました。

一度は覚悟を決めたことを思うと、今、目の前にある幸せが夢のようで、私はこの幸せな瞬間を目に焼き付けるように、この日はずっとずっとそうちゃんに触れながら沢山の表情を側で見続けていました。


これからまた、そうちゃんと一緒に過ごせる。
生きててくれて本当に本当によかった。

私たちは久しぶりに大きな希望を持つことができました。


その日からそうちゃんは日に日に回復していき、翌日にはうんちも出るようになり、呼吸状態も元に戻って酸素も必要なくなり、CRPもゆっくりでしたが確実に下がっていきました。

本当にすべてが奇跡のようでした。

そして、遠方でずっと会えていなかった主人の両親も会いに来てくれることになり、初めて会うおじいちゃんおばあちゃんを前にそうちゃんは興奮気味で、とても良い表情をたくさん見せてくれました。

おじいちゃんおばあちゃんの優しい方言が心地良いのかな。
そんなことを思いながら、終始ご機嫌のそうちゃんと主人の両親の対面を見ることができて、私たちは喜びでいっぱいでした。


そうちゃんは、この敗血症という辛い状態を乗り越えて、私たちに改めて色々なことを気づかせてくれました。

当たり前だと思っていることが当たり前ではないこと。
いつもはなかなか気づけないけど、日常にはこんなにも沢山の小さな幸せが溢れているということ。
生きているって素晴らしいということ。

こんな普通のことを思い出させてくれるのはいつもそうちゃんでした。

私たちは満たされていると、つい我が儘になってしまって、欲深くなってしまって、大切なことを沢山見逃してきていたかもしれないな…と思いました。

忘れかけていた色々な感情を、そうちゃんが小さな身体でいつも私たちに気づかせてくれるのです。

子どものパワーって本当にすごいと、私たちは改めて痛感していました。