そうちゃんが産まれてから、まだ2週間も経っていないのに、私たちはどれだけ涙を流しただろう。

でもなぜか、沢山涙を流した後はいつも少しスッキリしていて、気づくとそうちゃんが産まれてからこれまでのことを思い出していました。

『そうちゃんが頑張ってるんだから、私たちも頑張らないと』

結局最後にはいつも、私たちはそうちゃんに力をもらって前を向くことができていました。


気づくと時間は20時を過ぎていて、搾乳のできていないおっぱいが痛み出していましたが、私たちはどうしてもそうちゃんの顔が見たくて帰る前に会いにいきました。

そうちゃんは相変わらずスヤスヤと眠っていました。

「そうちゃん、ありがとう」

自然と出てきた言葉でした。

そうちゃんを見ていると、またすぐに涙が出てきてしまいましたが、さっきまでの不安とは明らかに違う、愛おしくてたまらなくて出てきた涙でした。

これからのことは分からない、不安でたまらないのが正直な気持ちでしたが、でも今は、沢山の病気を抱えながらも目の前で懸命に生きてくれているそうちゃんに感謝の思いでいっぱいでした。

「家族で一緒に乗り越えていこうね」

私たちはそうちゃんに約束しました。


そして、帰ろうとした時、看護師さんから明日の10時から目の検査をすると告げられ、その後に眼科医と話ができるかと尋ねられました。

すごく気になっている目のことだったので、私はどうしても行きたかったのですが、明日の午前中は運転のできない母しか家にいないので連れてきてもらうことは無理でした。

1日くらい自分で運転しても大丈夫じゃないかと考えましたが、先生にダメと言われているのだからと主人に止められました。

「ではまた結果は先生からタイミングを見てお伝えしますね」

仕方のないことでしたが、こんな大事なときに来られない自分が悔しくて仕方ありませんでした。


家に帰ると、母が心配してリビングで待っていましたが、目の腫れている私たちを見て察してくれたのか、「お疲れさま。」と言うと、何も聞かずに部屋に戻っていきました。

心身共に疲れ切っていた私たちには、そんな小さな気遣いがとてもありがたく、家族の存在の大きさを日々感じていました。
家族がいればきっと大丈夫。
間違いなく心の支えになっていました。


そして迎えた朝。
もうすぐそうちゃんの目の検査。

目が見えない可能性が高いと言われて、先生の言葉を思い出す度に、私は不安で胸が苦しくなりました。


すると突然、
「おはよ。そうちゃんの状態はどう?」
と弟が現れました。

すっかり忘れていました。
不定休の弟が、偶然休みだったのです。

「お願い!病院に連れてって!!」

私は必死でした。

病院にすぐに電話をかけてみると、もうすぐ検査なので、これから向かっても眼科の先生と会えるかは微妙だと言われましたが、少しの可能性に賭けて、母と一緒に弟の車に乗り、私たちは急いで病院へと向かいました。