色々な人に支えてもらいながら、
まだそうちゃんが産まれてから4日しか経っていませんでしたが、すでに沢山のことを乗り越えてきたような、毎日とても濃い時間を過ごしていました。


悲しくなったり、嬉しくなったり、感情の浮き沈みはあったものの、ずっと前を向いていられたのは、間違いなくそうちゃんのおかげでした。


早く会いたい。


ずっと願っていたそんな想いが叶う大きな一歩が、この日の夜、ついにやってきました。

術後からなかなか動かなかった私の腸がやっと、やっと動いたのです。

これでそうちゃんに会いに行ける!!
そして、丸4日間続いた絶飲食から解放されると思うと、嬉しすぎて、この喜びを誰かに言いたくて、私は興奮気味に家にいる主人にすぐに連絡しました。

主人も同じように喜んでくれました。

まだ動いたばかりだったので、まずはお茶からのスタートでしたが、久しぶりに飲んだお茶はすごく美味しくて、身も心もとても癒されていきました。


痛みのピークも越えてきて、不快だった尿管からも解放されて、夜も少しずつ眠れるようになってきました。

3時間おきに起きて搾乳をしたあとには、できるだけトイレに行きたくなくても行くようにして、動く時間を少しでも増やすようにしていました。


そして、朝7時の搾乳の時間。

いつも通り起き上がろうとすると、突然胸が苦しくなり、しばらく半分起き上がった状態で、呼吸を整えようとじっとしていました。

するとたまたま看護師さんが入ってきて、「どうしたの?」と言われましたが、答える頃には落ち着いてきていたので、「少し息が苦しい感じがしたんですが、治ったので大丈夫です」と返事をしました。

その時には、看護師さんも特に気に留める様子もなく採血をし、私もいつも通りに検温と搾乳をしました。


そして、いつもはこの後は何もすることがなくぼーっと過ごしていましたが、この日は違いました。

初めて見る男の人が、朝食を持ってきてくれたのです。

おかゆと玉子焼きというとってもシンプルな内容でしたが、久しぶりに食べる食事に感動し、食べられる喜びを噛みしめながら、時間をかけてゆっくりゆっくりとその時間を楽しみました。
もちろん完食しました。


体調も良いし、まだ痛みでまっすぐ歩くことはできないものの、ゆっくりなら歩行もできるようになり、この調子なら明日そうちゃんに会いに行けるんじゃないかとそんな期待が大きく膨らんできていました。


『早く先生に聞きたいな』とワクワクしていると、出産のときにお世話になった助産師さんが部屋に来てくださいました。

少し近況報告をしたりして過ごしたあと、先生が待ちきれなかった私は、

「このまま調子が良ければ明日そうちゃんの病院に行けますかね?」

と尋ねると、その助産師さんは突然

「実はね、ちょっと急性肺血栓塞栓症の疑いがあって…エコノミークラス症候群って言えば分かるかな?」

一瞬、誰のことか何のことか分かりませんでしたが、どうやら私の朝の呼吸困難はそれが原因の可能性があるとのことでした。

「ここでは血液検査までしかできないから、少し様子を見て、危険と感じたら転院して精密検査することになるかもしれないんだけど。」
「先生が判断するから、もう少し待っててね。」

そうちゃんに会いに行けるかどうかには触れられることもなく、話は終わってしまいました。


嬉しいことがあったかと思うと、また試練が訪れて。

思うようには行かない現実に落ち込みながらも、今はできることをやるしかないと、辛いときこそそうちゃんを想っては弱った心を奮い立たせていました。