鶏の私があまりに泣きわめくので、竜はゆっくり私に言いました。『一度だけ、空を飛んであげるから父さんの背中に乗って』と言いました。

私は跳び上がって喜んで、朝でもないのにコケコッコー、と雄叫びに近い声を出しました。

竜の背中は大きくて、大きな鱗は海の匂い、ツノは、山の匂いがしました。

竜は一瞬にして自分の体を温めて、『ちゃんとつかまっててね。』と言って、ロケットみたいに真っ直ぐとお空を上がって行きました。

鶏の私は、気圧で耳が痛くなり、風の強さで目から涙が流れて、お空の寒さで脚がガタガタ震えてました。

丸い地球を3周して、三角の地球を2周して、お月様を一抓み食べました。


月は寒くて、太陽は熱い。そして、私は竜の鶏の子だと知りました。


お空から帰って、三日間私はずっと、チドリアシで、千鳥模様がぐるぐるチカチカ見えたりした。

お空は遠くて近くて、
お空は寒くて熱くて、
お空は飛ぶよりも眺めている方が私は気持ちいいのだと思いました。

竜の鶏の子。おしまい