さとえ学園小学校 校長ブログ
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センス・オブ・ワンダー

今日の朝は、ようやく寒さもおさまり、春の気配を感じます。昨日定期テスト(チャレンジテスト)も終わり、子どもたちは第3学期のまとめの学習に入りました。今日の全校朝礼では、「沈黙の春」で化学薬品を使うことへの警告を発した、レイチエル・カーソンさんの「センンス・オブ・ワンダー」の話をしました。以下が、その話の草稿です。


さとえ学園小学校 全校朝礼 2013.2.28
お早うございます。
 皆さんの中に「レイチエル・カーソン」という海洋生物学者のことを知っている人はいますか。1907年~1964年という時代、まだ女性が科学の研究をすることなどほとんどなかった時代に活躍したアメリカの科学者です。
 彼女は「海の生物が置かれている環境」のことを丁寧に研究し、1962年に「沈黙の春」という本を出版しました。この本で「今のままの化学薬品による農薬を使い続けた生活を続けると、人間の活動によって自然に様々な影響が出て、野生の生物ばかりでなく、人間も住めないような地球になってしまう。今のあなた自身の生活のし方が、地球の未来を選ぶのです」という内容の事を警告したのです。

 この警告が初めて世界の人々が「地球の環境を見直すきっかけ」になったと言われています。そして、カーソンさんが亡くなった後で出版された「The Sense of Wonder(センス・オブ・ワンダー)」という子どもたちに向けた本の中で、こんなことを呼びかけています。
 「子どもたちよ、知ることより、感じることをの方が大切です。子どものうちに美しい自然、不思議な自然をしっかり見て、感じて一生消えることのないセンス・オブ・ワンダー(不思議さに目を見張る感性)」を身につけてください。」
 先生もその通りだと思っています。

 昨年の暮の12月に、IEAという国際組織が行った世界規模の「国際算数・理科の学力調査」の結果が発表されました。いわゆる知識・理解(覚えること)を中心とした学力では、日本の小学校4年生は、世界で5番目という大変優秀な成績でしたが、「算数や理科が好き」と答えた生徒の割合や「将来、算数や理科を使った仕事をしたい」という子どもの割合は、なんと世界平均より30%も低かったのです。どうしましょうね。
 自然の不思議さ、美しさを感じない子どもにとっては、「理科の勉強は退屈」なものになってしまいます。この「さとえ学園小学校で学んでいる」皆さんは、自分の身の回りにある自然の中に不思議を発見して、目を輝かせながら学んでいって欲しいと思っています。
 今日の話はこれで終わりにします。

科学者ロバート・ボイル

立春を過ぎたというのに、朝晩の冷え込みが厳しい毎日です。でも、さとえ学園の子どもたちは、登校してくると、すぐさま体操着に着替えて、(短パで!!)元気よくグランドに遊びに出て行きます。

今日の全校朝礼では、R.ボイルの話をしました。科学的なものの見方の大切さを反しました。以下が、その話の草稿です。


さとえ学園小学校 全校朝礼 2013.2.21
 お早うございます。
今日はイギリスの科学者、ロバート・ボイルの話をしましょう。
皆さんが中学校、高等学校で習う理科の勉強で、気体の体積と圧力の関係を見つけた法則「ボイルの法則」を発見した偉大な科学者です。

 R.ボイル(1627~1691)は、17世紀のイギリスで活躍した科学者ですが、日本はまだ江戸時代ですね。この時代のイギリスは「産業革命」が起きて急激に鉄の生産を始めとする工業が発達していきました。産業革命を支えていたのはニューコメンやワットなどが改良した「蒸気機関」でした。「蒸気機関」というのは水蒸気でものを動かす道具ということですね。皆さんは蒸気機関車(SL)を知っているでしょう。あのSLは、石炭を燃やして水を水蒸気に変え、その力で重たい機関車を動かしているわけです。「蒸気機関」には大量の石炭が必要ですが、石炭を掘り出すのに浅いところの石炭はなくなって、だんだん地下深くまで掘らなければならなくなったのです。人間が地下深くに潜って掘っていくのですが、困った問題が2つ出てきました。それは何かというと、1つは地下水ができてきてしまうことです。もう1つは、地下で掘っている労働者に新鮮な地上の空気を送る必要が出てきたのです。この2つの問題を解決する為にポンプが急速に発達しました。勿論、排水用(水を汲みだす)にも送風用(空気を送る)にも使われました。ここでボイルが登場です。ボイルはこのポンプを使って様々な実験をしました。ガラスでできた大きな釣鐘型の容器(真空鐘といいます)の中に、例えば火のついたロウソクを入れると「火は消えた」と記録しています。そしてさらに、この中に生きたネズミを入れて空気を抜いています。ボイルは「ネズミは死んだ」と記録しています。ちょっと残酷なのですが、ボイルはこの2つ事実から「火が燃えることと動物の呼吸とは同じ仕組みに違いない」と見抜いているのです。物が燃えるのは、物が空気中の酸素と結び付くことで、呼吸とは動物が酸素を取り入れて二酸化炭素をだすことですね。また、この容器の中に目覚まし時計を入れて実験していますが、この時「空気を抜いていくと目ざまし時計の音は聞こえなくなった。しかし、目ざまし時計は見えていた。」と書き残しています。
 皆さんは、この2つの事実からボイルは何を見つけ出したか分りますか?

 ボイルは「音は真空中を伝わることはできないが、光は真空中を伝わる」という正しい結論を得ています。このように、科学の目で身の回りに起こっている事実をしっかりと観察して、そこから自然の中に潜む「謎」を見つけていくのが「科学者」なのです。
 皆さんも日ごろ、勉強していく中から、こうした科学的なものの見方、考え方、自然に向き合う姿勢を、しっかりと身につけてほしいと先生は思っています。
今日の話はこれで終わりにします。

日本文化の極み-箸-

さとえ学園小学校のスキー教室は3年生と4年生で実施しています。そのスキー教室の学年の入れ替えとなる2/6(水)、東京をはじめ関東地方では前日から「雪」の予報で、JRも電車の本数を減らすなどの対策をいち早くとっていました。これでは、後発の学年3年生がスキー場まで来られるのかどうか、とても心配しました。しかし、雪は全然大したこともなく順調に行事を終えることができました。インフルエンザの予防もあり、一度に全員を集めることは控えていましたので、今日は、久しぶりの全校朝礼となりました。

今日の全校朝礼では、日本の食文化の極みともいえる「箸」の話しをしました。以下が、その話の草稿です。


さとえ学園小学校 全校朝礼 2013.2.14
 お早うございます。
 さとえ学園小学校の皆さんは給食のお箸を自宅から持ってくるようになっていますね。最初にそのことを知った時、先生は素晴らしい取り組みだな、と思いました。
 そのお箸なのですが、食器としての箸が中国から伝わったのは7世紀の飛鳥時代、今から1400年くらい前のことのようです。それまでの日本人は、食べ物を手づかみで食べていたようです。今でも、インドの方々を始め、手で直接食べ物を食べる習慣が世界のあちこちで残っていますね。
 中国にならって、箸を使うことを制度として決めたのは、何と聖徳太子だったと、1月26日の朝日新聞で知りました。低学年の皆さんには聞きなれない人の名前かもしれませんね。この人物が日本の歴史の中で、どんなことをしたかは、高学年になって歴史の勉強でしっかりと学んでください。
 さて、日本に伝わった最初の箸は、1本の竹を真ん中で曲げてピンセットのような形をしていたのだそうです。「箸」という漢字に竹冠が付くのはその名残だそうで、そのピンセットの形の端と端で食べ物をはさむので「はし」とう名前がついたという説もあるそうです。
 箸の数え方は何ですか?そうですね。「1膳」、「2膳」ですね。これは、鎌倉時代になって武士が「箱膳」という1人1人の御膳で食事をするようになったので、1つの膳に1対の箸が添えられていたから箸を「1膳」、「2膳」と数えるようになったそうです。面白いですね。
 日本では「割り箸」が大変よく使われていますね。一時期、使い捨てで勿体ない、森林を伐採するので環境問題だと考えられたこともあったのですが、実際には、もう使わない廃材(家具や家の建築用に使った残りの木材)や、間伐材といって、立派な木を育てるために、あらかじめ切ってしまう木材から作られているので、その心配はないようです。
 昨年、日本で使われた割りばしの数は、なんと193億膳、そのうち国産は4億4500万膳、残りは輸入しているとのことです。
 箸は食器として、極限まで簡潔にした形で、日本の誇る文化の1つともいえます。どうか皆さんも美しい「箸さばき」ができるようになってほしいと思っています。
今日の話はこれで終わりにします。

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