金曜日、ESLの授業に参加した。
ESL とは ”English as a Second Language” の略で、英語を母国語としない生徒達のための
授業である。
(ちなみにGSL は ”German as a Second Language” の略。)
4年の生徒は、ロシア人(転校生のイケメン、ブラジミール)一名、ドイツ人二名、イスラエル人(ノアちゃん)、イラク人、フランス人、それに日本代表サトシ君各一名の計7名だ。
世界中から集まっている生徒を教えなきゃいけない先生は、もうてんてこ舞いである。

一番最初に教室へ入ってきたのは、サトシだった。
「あら、サトシが一番早かったわね。もー、いつも女の子達は遅いんだからっ!」
いつも穏やかな笑みをたたえているショルニコフ先生の口調が、少し荒い。
ドイツ語やESL、音楽などの授業のとき、生徒は教室を移動しなければならないので
時間のロスがどうしても発生してしまう。
それから5分経ってやっと現れた女の子達は、ピーチクパーチクとひばりのように騒々しい。
日本のように
「起立、気をつけえ! 礼! 着席。」
という号令がない、ここドイツの学校。
ダラダラ~~となんとなく着席し、なんとなく授業が始まるのがいつもの風景だ。

まず始めに、先週行われた単語テストの採点結果が返された。
サトシは満点。
チラッと見えた隣の子の用紙は20点だった。
「満点の子は他にいてへんで! お母さん、オレ、すごいやろ!」
いや、サトシ。単語は覚えても、英語を話せなかったら意味ないっちゅーねん。

そんなこんなで授業は進んでいく。
「今配ったプリントを5分でしてくださいね。それでは、ようい始めっ!」
先生が言うのと同時に、イラク人のザラちゃんが暴言を吐いた。
「なあ、先生。 サトシはお母さんが付いてて不公平やでっ!答え教えてもらってるやんかっ!!」
「あのね、サトシは英語が分からないから仕方ないのよ。
それに、アナタはなんでココ(ESL)に来ているのか分かってるの?」
切れかかっているショルニコフ先生が、つとめて冷静に言った。
「えっ? そんなん、わからへーーーーん。」

ブチッ!
確かに何か切れた音がした。
「アナタッ、向こうの席へ行って、黙ってプリントをしなさいっっ!!!!!」

そして、今日もドイツの一日が終った。


ウチのアパートの裏手。
川に張っていた氷もすっかり溶け、ヌートリア(ビーバーにそっくり)が嬉しそうに泳いでいた。
$ライプチヒ歳時記-近所の川